第4問
nを2以上の整数とする。自然数(1以上の整数)のn乗になる数を
n乗数と呼ぶことにする。以下の問いに答えよ。
(1) 連続する2個の自然数の積はn乗数でないことを示せ。
(2) 連続するn個の自然数の積はn乗数でないことを示せ。
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【解答】
(1)
連続する2つの自然数をN、N+1とする。
N=1のときは、
1・2=2
となり、これは明らかにn乗数ではないので、
以下は、N≧2の範囲で考える。
Nが素因数p(p≧2)をもつとすると、
N=pN’ (N’は自然数)
と表すことができる。
p≧2より、
pN’<pN’+1<p(N’+1)
⇔ pN’<N+1<P(N’+1)
よって、N+1はpを素因数として持ち得ないので、
NとN+1は互いに素である。
よって、N(N+1)がn乗数になるためには、
N=an、 N+1=bn
の形であればよい(a、bは互いに素な自然数)。
このとき、
(N+1)-N=an-bn≧2n-1n
⇔ 1≧2n-1n
となるが、n≧2なので、これを満たす自然数a、bは存在しない。
以上より、連続する2つの自然数の積がn乗数になることはない。
NとN+1が互いに素であることは、証明抜きに使ってもよさそうですが・・・・
(2)
連続するn個の自然数をN、N+1、N+2、・・・・・・、N+n-1とする。
その積がn乗数であるとすると、
N(N+1)(N+2)・・・・(N+n-1)=Mn ・・・・①
となる自然数M、n(≧2)が存在する。
一方、不等式
Nn<N(N+1)(N+2)・・・・(N+n-1)<(N+n-1)n ・・・・②
が成り立つので、①、②より
Nn<Mn<(N+n-1)n ⇔ N<M<N+n-1.
よって①は、
N(N+1)・・・(M-1)M(M+1)・・・(N+n-1)=Mn
と表すことができ、両辺をMで割ると、
⇔ N(N+1)・・・(M-1)(M+1)・・・(N+n-1)=Mn-1.
ここで(1)と同様、連続する2整数MとM+1は互いに素なので、
左辺はM+1の倍数であるが、右辺はM+1の倍数とはなり得ず
この式は矛盾する。
よって、連続するn個の自然数の積はn乗数とならない。
ことしの東大の問題では、これが一番難しいでしょうね。
テーマ:数学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2018/11/20(火) 01:04:00|
- 大学入試(数学) .関東の大学 .東京大 理系 2012
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