2012東京大 理系数学２

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【解答】

　右図のように9つの部屋にA～C、P～R、X～Zと名前をつけ、
　白と黒に色分けする。

　また、ｎ秒後に球が部屋P、Q、Rにある確率を
　それぞれp_n、q_n、r_nとする。

　1回移動するごとに、部屋の色が白→黒→白→････
　と入れかわっていくので、Pから出発した球は、
　　　　奇数秒後には白色の部屋
　　　　偶数秒後には黒色の部屋
　にあるので、ｎが奇数のときは
　　　　q_n=0　

　以下はｎが偶数のときのみを考え、ｎ=2ｍ （ｍ：0以上の整数）とおく。
　2ｍ秒後から2ｍ+2秒後までの球の移動のうちで、
　2ｍ+2秒後に球がQにくるような移動をすべて書きあげると、
　　　　Q→C→Q
　　　　Q→Y→Q
　　　　Q→Z→Q
　　　　P→Y→Q
　　　　R→Z→Q
　の5パターン。
　ここで、
　　　　Q→C、　Q→Y、　Q→Z、　P→Y、　R→Z　と移動する確率はそれぞれ $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{3}\end{align*}}$
　　　　Y→Q、　Z→Q　と移動する確率はそれぞれ $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{2}\end{align*}}$
　　　　C→Q　と移動する確率は1
　なので、
　　　$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q_{2m+2}=\left(\frac{1}{3}\cdot1+\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}\times2\right)\ q_{2m}+\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}\ p_{2m}+\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}\ r_{2m}\end{align*}}$
　　　　　　 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{2}{3}\ q_{2m}+\frac{1}{6}\ p_{2m}+\frac{1}{6}\ r_{2m}\end{align*}}$
　となる。

　2ｍ秒後には必ずP、Q、Rのいずれかにあるので、
　　　　p_2m+q_2m+r_2m=1
　であり、これを代入すると、
　　　　 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q_{2m+2}=\frac{2}{3}\ q_{2m}+\frac{1}{6}\ (1-q_{2m}-r_{2m})+\frac{1}{6}\ r_{2m}\end{align*}}$
　　 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \ \ \Leftrightarrow\ \ q_{2m+2}=\frac{1}{2}\ q_{2m}+\frac{1}{6}\end{align*}}$　．
　この式は、
　　　　 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \ q_{2m+2}-\frac{1}{3}=\frac{1}{2}\left( q_{2m}-\frac{1}{3}\right)\end{align*}}$　
　と変形できる。
　ここで、
　　　　　 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x_m=q_{2m}-\frac{1}{3}\end{align*}}$　
　とおくと、数列{x_m}は公比 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{2}\end{align*}}$ の等比数列となり、
　　　　　 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x_0=q_0-\frac{1}{3}=-\frac{1}{3}\end{align*}}$　
　なので、{x_m}の一般項は、
　　　　　 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x_m=-\frac{1}{3}\left(\frac{1}{2}\right)^m\end{align*}}$　
　となる。よって、　　　　
　　　　　 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q_{2m}=x_m+\frac{1}{3}=\frac{1}{3}-\frac{1}{3}\left(\frac{1}{2}\right)^m\end{align*}}$　
　

　以上より、
　　　ｎが偶数のとき、
　　　　　 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ q_{n}=\frac{1}{3}-\frac{1}{3}\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{n}{2}}\ \ }\end{align*}}$　
　　　ｎが奇数のとき
　　　　　　$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ q_n=0\ \ }\end{align*}}$



　　漸化式さえ作ってしまえば、あとは計算だけです！