第3問
袋A、袋Bのそれぞれに、1からNの自然数がひとつずつ書かれた
N枚のカードが入っている。これらのカードをよくかきまぜて取り出
していく。以下の問いに答えよ。
(1) N=4とする。袋A、Bのそれぞれから同時に1枚ずつカードを取
り出し、数字が同じかどうかを確認する操作を繰り返す。ただし、
取り出したカードは元に戻さないものとする。4回のカードの取り
出し操作が終わった後、数字が一致していた回数をXとする。
X=1、X=2、X=3、X=4となる確率をそれぞれ求めよ。
また、Xの期待値を求めよ。
(2) N=3とし、nは自然数とする。袋A、Bのそれぞれから同時に1枚
ずつカードを取り出し、カードの数字が一致していたら、それらの
カードを取り除き、一致していなかったら、元の袋に戻すという操作
を繰り返す。カードが初めて取り除かれるのがn回目で起こる確率を
pnとし、n回目の操作ですべてのカードが取り除かれる確率をqnと
する。pnとqnを求めよ。
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【解答】
(1)
Aのカードの数字を、取り出した順にa、b、c、dとする。
Bのカードの取り出し方は全部で、4!=24通りある。
X=1
どの数が一致するかはa~dの4通り。
ここで仮にaが一致したとすると、Bの2~4枚目のカードは、
それぞれb、c、dと異なる必要があるので、c、d、bの順に
取り出すか、d、b、cの順に取り出すかの2通り。
他の場合も同様に考えることができるので、全部で4×2=8通り。
よって、X=1となる確率は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{8}{24}=\underline{\ \frac{1}{3}\ \ }\end{align*}}$
X=2
どの2数が一致するかは4C2=6通り。
ここで仮にaとbが一致したとすると、Bの3、4枚目のカードは、
それぞれc、dと異なる必要があるので、d、cの順に取り出せばよい。
他の場合も同様に考えることができるので、全部で6×1=6通り。
よって、X=2となる確率は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{6}{24}=\underline{\ \frac{1}{4}\ \ }\end{align*}}$
X=3
このような場合はあり得ないので、確率は 0
X=4
Bもa、b、c、dの順に取り出せばよいので、確率は $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ \frac{1}{24}\ \ }\end{align*}}$
(2)
A、Bそれぞれに3枚のカードが入っている状態において、
(ア) 引いたカードの数字が一致する (確率 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{3}\end{align*}}$ )
(イ) 引いたカードの数字が一致しない (確率 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2}{3}\end{align*}}$ )
の2つの場合が考えられる。
n回目で初めてカードが取り除かれるのは、
1回目から(n-1)回目はカードが一致せず、n回目に一致すればよい。

その確率は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_n=\left(\frac{2}{3}\right)^{n-1}\cdot\frac{1}{3}=\underline{\ \frac{2^{n-1}}{3^n}\ \ }\end{align*}}$ ・・・・①
次に、A、Bそれぞれに2枚のカードが入っている状態において、
(ウ) 引いたカードの数字が一致する (確率 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{2}\end{align*}}$ )
(エ) 引いたカードの数字が一致しない (確率 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{2}\end{align*}}$ )
の2つの場合が考えることができる。
また、A、Bそれぞれに1枚のカードが入っている状態においては、
引いたカードの数字は必ず一致する。・・・・(オ)
以上のことを踏まえて、n回目にすべてのカードが取り除かれる
確率qnを求める。
まず、3枚のカードすべてを2回目までに取り除くことはできないので、
q1=q2=0.
以下は、n≧3のときを考える。
k回目に初めてカードを取り除くとすると、この確率は①より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_k=\frac{2^{k-1}}{3^k}\end{align*}}$
(オ)より、次にカードを取り除くのは(n-1)回目の操作を行うときなので、
(k+1)回目から(n-2)回目までの(n-k-2)回の操作は、
A、Bそれぞれに2枚ある状態で、引いたカードが一致しなければよい。

よって、
k回目にカードを初めて取り除き、n回目にすべてを取り除く確率は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_k\cdot\left(\frac{1}{2}\right)^{n-k-2}\cdot \frac{1}{2}=\left(\frac{1}{2}\right)^n\cdot\left(\frac{4}{3}\right)^k\end{align*}}$
kの値は1からn-2までとり得るので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q_n=\sum_{k=1}^{n-2}\left(\frac{1}{2}\right)^n\cdot\left(\frac{4}{3}\right)^k\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\left(\frac{1}{2}\right)^n\cdot\frac{4}{3}\cdot\frac{\left(\frac{4}{3}\right)^{n-2}-1}{\frac{4}{3}-1}\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\underline{\ \left(\frac{2}{3}\right)^{n-2}-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-2}\ \ }\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \end{align*}}$
(1)は書き出せば問題ないでしょう。
(2)のqnが難しいですねぇ。
テーマ:数学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2018/10/25(木) 01:13:00|
- 大学入試(数学) .全国の大学 .東北大 理系 2012
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