第4問
nを自然数とする。0でない複素数からなる集合Mが次の規則(Ⅰ)、(Ⅱ)、
(Ⅲ)を満たしている。
(Ⅰ) 集合Mはn個の要素からなる。
(Ⅱ) 集合Mの要素zに対して、$\small\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{z}\end{align*}}$ と-zはともに集合Mの要素である。
(Ⅲ) 集合Mの要素z、wに対して、その積zwは集合Mの要素である。
ただし、z=wの場合も含める。
このとき、次の問に答えよ。
(1) 1および-1は集合Mの要素であることを示せ。
(2) nは偶数であることを示せ。
(3) n=4のとき、集合Mは一通りに定まることを示し、その要素をすべて求めよ。
(4) n=6のとき、集合Mは一通りに定まることを示し、その要素をすべて求めよ。
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【解答】
(1)
(Ⅱ)より、 集合Mの要素zに対して、z-1 と-zもMの要素である。
よって、(Ⅲ)より、
z・z-1=1 、-z・z-1=-1
もMの要素になる。
(2)
(Ⅱ)Mの要素z1に対して、-z1もMの要素なので、集合M1={z1,-z1}は
Mの部分集合である。
また、z2≠±z1であるMの要素z2が存在すると、集合M2={z2,-z2}は
Mの部分集合である。
さらに、z3≠±z1、±z2であるMの要素z3が存在すると、集合M3={z3,-z3}は
Mの部分集合である。
以下も同様に考えると、
M=M1∪M2∪M3∪・・・
であり、M1、M2、M3、・・・・は互いに共通部分を持たないので、
Mの要素の個数nは偶数となる。
(3)
n=4のとき、z≠0,±1である複素数zを用いて、
M={±1,±z}
と表すことができる。
このとき、(Ⅱ)よりz-1 もMの要素であるが、z≠0,±1より、
z-1≠±1 かつ z-1≠z なので、
z-1=-z ⇔ z2=-1 ⇔ z=±i
となり、Mの要素は
M={±1、±i }
と一通りに定まる。
(4)
(Ⅱ)より、 z≠±1である集合Mの要素zに対して、z-1 と-zもMの要素であり、
さらに、-z-1もMの要素となる。
ここで、z≠0,±1,±i である複素数zを考えると、
6数±1,±z,±z-1はすべて異なるので、
n=6のとき、
M={±1,±z,±z-1}
と表すことができる。
(Ⅲ)より、z・z=z2もMの要素であるが、z≠0,±1,±i より、
z2≠±1 かつ z2≠±z
よって、z≠±1より
z2=±z-1 ⇔ z3=±1 ⇔ z=$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1\pm\sqrt3\ i}{2}\ ,\ \frac{-1\pm\sqrt3\ i}{2}\end{align*}}$
となり、Mの要素は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ M=\pm 1\ ,\ \frac{1\pm\sqrt3\ i}{2}\ ,\ \frac{-1\pm\sqrt3\ i}{2}}\end{align*}}$
と一通りに定まる。
(3)、(4)の答えは何となく予想できますが、答案にするのは難しいでしょうね。
テーマ:数学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2018/10/24(水) 01:14:00|
- 大学入試(数学) .全国の大学 .名古屋大 理系 2017
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