第2問
行列$\small\sf{\begin{align*}\sf A=\begin{pmatrix}\sf a&\sf b\\ \sf c&\sf d\end{pmatrix}\end{align*}}$ について、以下の3つの条件を考える。
(ⅰ) a+d=ad-bc=0
(ⅱ) A2=O
(ⅲ)ある自然数nに対して、An=O
このとき、次の問いに答えよ。
(1) (ⅰ)ならば(ⅱ)であることを示せ。
(2) (ⅲ)ならば ad-bc=0であることを示せ。
(3) (ⅲ)ならば(ⅰ)であることを示せ。
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【解答】
(1)
2×2行列の単位行列をE、零行列をOとすると、
ハミルトン・ケーリーの定理より
A2-(a+d)A+(ad-bc)E=O ・・・・・・①
(ⅰ)より a+d=ad-bc=0なので
A2=Oとなる。
(2)
ad-bc≠0と仮定すると、Aの逆行列A-1が存在し、
An=Oの両辺にA-1をn回かけると、
E=O となるので矛盾する。
よって、
ad-bc=0
(3)
An=Oのとき、ad-bc=0となることは (2) で証明済みなので、
a+d=0となることを示せばよい。
①より
A2=(a+d)A ・・・・・・②
n=1のときは、A=Oとなり明らか
n≧2のとき、
An=A2・An-2
=(a+d)A・An-2 ←②より
=(a+d)A2・An-3
=(a+d)2A・An-3 ←②より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \vdots\end{align*}}$
=(a+d)nA=O
よって、a+d=0またはA=O
いずれの場合もa+d=0となるので、題意は示された。
これも落とせない問題ですね。
テーマ:数学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2018/10/30(火) 01:02:00|
- 大学入試(数学) .全国の大学 .北海道大 理系 2011
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