第4問
次の問いに答えよ。ただし2次方程式の重解は2つと数える。
(1) 次の条件(*)を満たす整数a、b、c、d、e、fの組をすべて求めよ。
(*) 2次方程式x2+ax+b=0の2つの解がc、dである。
2次方程式x2+cx+d=0の2つの解がe、fである。
2次方程式x2+ex+f=0の2つの解がa、bである。
(2) 2つの数列{an}、{bn}は、次の条件(**)を満たすとする。
(**) すべての正の整数nについて、an、bnは整数であり、
2次方程式x2+anx+bn=0の2つの解がan+1、bn+1である。
このとき、
(ⅰ) 正の整数mで|bm|=|bm+1|=|bm+2|=・・・となるものが存在する
ことを示せ。
(ⅱ) 条件(**)を満たす数列{an}、{bn}の組をすべて求めよ。
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【解答】
(1)
解と係数の関係より
c+d=-a ・・・・・・① cd=b ・・・・・・②
e+f=-c ・・・・・・③ ef=d ・・・・・・④
a+b=-e ・・・・・・⑤ ab=f ・・・・・・⑥
②、④、⑥を辺々かけると
abcdef=bdf ・・・・・・⑦
・b=0のとき
④、⑥より、d=f=0
これと①、③、⑤よりa=c=e=0 となるので、
a=b=c=d=e=f=0
・d=0 および f=0のときも同様
・bdf≠0のとき
⑦より、ace=1 ・・・・・・⑧
a、c、eは整数なので、|a|=|c|=|e|=1 ・・・・・・⑨
bdf≠0と、①、③、⑤より
c≠-a かつ e≠-c かつ a≠-e
このことと、⑧、⑨より、a=c=e=1
このとき、①、③、⑤より b=d=f=-2
以上より、条件(*)を満たす整数a~fの組は、
(a,b,c,d,e,f)=(0,0,0,0,0,0)、(1,-2,1,-2,1,-2)
(2)(ⅰ)
二次方程式
x2+anx+bn=0 ・・・・・・(#)
は、任意の自然数nに対して実数解をもつので、判別式を考えると、
an2-4bn≧0 ・・・・・・(A)
また、(#)の解がan+1とbn+1なので、解と係数の関係より、
任意の自然数nに対して
an+1+bn+1=-an ・・・・・・(B)
an+1bn+1=bn ・・・・・・(C)
が成り立つ。
(Ⅰ) ak=0となるkが存在するとき
(B)より、ak+1+bk+1=-ak=0
これと
ak+2+bk+2=-ak+1
ak+2bk+2=bk+1
より、ak+1bとbk+1を消去すると、
ak+2bk+2-ak+2-bk+2=0 ⇔ (ak+2-1)(bk+2-1)=1
となり、ak+2、bk+2はともに整数なので、
(ア) ak+2=bk+2=2 または (イ) ak+2=bk+2=0
である。
(ア)のときは、(A)を満たさないので不適。
(イ)のとき、(#)はx2=0となり、解はx=0である。
よって、ak+3=bk+3=0となる。
以下も帰納的に、an=bn=0 (n≧k+4)が成り立つ。
以上より、ak=0となるkに対して、
|bk+2|=|bk+3|=|bk+4|=|bk+5|=・・・=0
が成り立つ。
(Ⅱ) すべてのnに対してan≠0であるとき
|an+1|≧1なので、(C)より
|bn|=|an+1||bn+1|≧|bn+1|
これがすべてのnに対して成り立つので、
|b1|≧|b2|≧・・・≧|bn|≧|bn+1|≧|bn+2|≧・・・≧0
これらはすべて整数値をとるので、
|bm|=|bm+1|=|bm+2|=・・・
となる自然数mが存在する。(ずっと減り続けるわけにはいかない!)
(Ⅰ)、(Ⅱ)より題意は示された。
(2)(ⅱ)
(ⅰ)より、
|bm|=|bm+1|=|bm+2|=・・・=N (N:0以上の整数)
となる自然数mが存在する。
(Ⅲ) N=0のとき
bm=bm+1=bm+2=・・・=0
であり、これと(C)より、bm-1=ambm=0
以下も帰納的に、
bm-2=bm-3=・・・=b2=b1=0
よって、(B)より、任意の自然数nに対して an+1=-anとなるので、
数列{an}は、公比-1の等比数列をなす。
よって、a1=aとおくと、an=(-1)n-1a
(Ⅳ) N≧1のとき
(C)より、n≧mの自然数nに対して
|an+1||bn+1|=|bn| ⇔ |an+1|N=N
⇔ |an+1|=1 (∵ N≠0)
これと(A)より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf b_{n+1}\leqq\frac{a_{n+1}^{\ 2}}{4}=\frac{1}{4}\end{align*}}$
であり、|bn+1|=Nなので、bn+1=-N<0 (∵ Nは自然数)。
これと(C)より
an+1・(-N)=-N ⇔ an+1=1 (n≧m) ・・・・・・⑩
であり、(B)より
1+bn+1=-1 ⇔ bn+1=-2 (n≧m) ・・・・・・⑪
⑩、⑪と(B)、(C)より
am=-(am+1+bm+1)=1
bm=am+1bm+1=-2
以下も帰納的に、
am-1=am-2=・・・=a2=a1=1
bm-1=bm-2=・・・=b2=b1=-2
が成り立つので、任意の自然数nに対して
an=1、 bn=-2
以上より、条件(**)を満たす数列{an}、{bn}の一般項は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(a_n\ ,\ b_n\right)=\underline{\sf \left(\left(-1\right)^{n-1}a\ ,\ 0\right)\ \ ,\ \ \left(1\ ,\ -2\right)}\end{align*}}$ (aは整数)
(2)は難しいですねぇ・・・・ 誰も手付かずだったのでは(笑)?
テーマ:数学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2018/10/24(水) 01:07:00|
- 大学入試(数学) .全国の大学 .名古屋大 理系 2016
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