第7問
実数aに対し、関数
$\small\sf{\begin{align*} \sf f\ (x)=\int_x^{x+1}|t+1|\ dt+a\end{align*}}$
を考える。曲線C:y=f(x)がx軸と2個の共有点を持つための
aの範囲を求めよ。またこのとき曲線Cとx軸で囲まれる部分の
面積を求めよ。
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【解答】
(ⅰ) x+1<-1 すなわち x<-2のとき
x≦t≦x+1のtに対してつねにt+1<0なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf f\ (x)=\int_x^{x+1}\left(-t-1 \right)dt+a\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =-\left[\frac{1}{2}t^2+t \right]_x^{x+1}+a\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =-x+a-\frac{3}{2}\end{align*}}$
(ⅱ) x≦-1≦x+1 すなわち -2≦x≦-1 のとき
x≦t≦-1のtに対してつねにt+1≦0、
-1≦t≦x+1のtに対してつねにt+1≧0 なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf f\ (x)=\int_x^{-1}\left(-t-1 \right)dt+\int_{-1}^{x+1}\left(t+1 \right)dt+a\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =-\left[\frac{1}{2}t^2+t \right]_x^{-1}+\left[\frac{1}{2}t^2+t \right]_{-1}^{x+1}+a\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =x^2+3x+a-\frac{5}{2}\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\left(x+\frac{3}{2}\right)^2+a+\frac{1}{4}\end{align*}}$
(ⅲ) -1<xのとき
x≦t≦x+1のtに対してつねにt+1>0なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf f\ (x)=\int_x^{x+1}\left(t+1 \right)dt+a=x+a+\frac{3}{2}\end{align*}}$
(ⅰ)~(ⅲ)より、曲線Cは
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x<-\frac{3}{2}\end{align*}}$ の範囲では単調に減少し、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x>-\frac{3}{2}\end{align*}}$ の範囲では単調に増加する。
よって、曲線Cがx軸と2個の共有点を持つためには、
f(x)の最小値<0であればよいので、求めるaの値の範囲は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf f\left(-\frac{3}{2}\right)=a+\frac{1}{4}<0\ \ \Leftrightarrow\ \ \underline{\ a<-\frac{1}{4}}\end{align*}}$
である。
曲線Cとx軸で囲まれる部分の面積をSとおく。
また、C上のx=-2およびx=-1に対応する点をA、Bとすると
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf A\left(-2\ ,\ a+\frac{1}{2} \right)\ \ ,\ \ B\left(-1\ ,\ a+\frac{1}{2} \right)\end{align*}}$
である。
(ア)A、Bがx軸上またはx軸より上にある場合
aの値の範囲は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf a+\frac{1}{4}<0\leqq a+\frac{1}{2}\ \ \Leftrightarrow\ \ -\frac{1}{4} である。
曲線Cはx軸と(ⅱ)で求めた放物線の
部分で交わり(右図)、そのx座標は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x^2+3x+a+\frac{5}{2}=0\ \ \Leftrightarrow\ \ x=\frac{-3\pm\sqrt{-4a-1}}{2}\end{align*}}$ .
これらをp、q(p<q)とすると
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf S=\int_p^q\left\{-\left(x^2+3x+a+\frac{5}{2}\right) \right\}dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =-\int_p^q\left(x-p\right)\left(x-q\right)dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{1}{6}\left(q-p\right)^3\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{1}{6}\left(\frac{-3+\sqrt{-4a-1}}{2}-\frac{-3-\sqrt{-4a-1}}{2}\right)^3\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{1}{6}\left(\sqrt{-4a-1}\right)^3\end{align*}}$
(イ) $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf a< -\frac{1}{2}\end{align*}}$ のとき
A、Bはx軸より下にあるので、曲線Cはx軸と
(ⅰ)、(ⅲ)で求めた直線の部分で交わり(右図)、
そのx座標は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf -x+a-\frac{3}{2}=0\ \ \Leftrightarrow\ \ x=a-\frac{3}{2}\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x+a+\frac{3}{2}=0\ \ \Leftrightarrow\ \ x=-a-\frac{3}{2}\end{align*}}$ .
S=赤色の台形+水色部分 なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf S=\frac{1}{2}\left\{\left(-a-\frac{3}{2}\right)-\left(a-\frac{3}{2} \right)+1 \right\}\left(-a-\frac{1}{2}\right)+\frac{1}{6}\cdot 1^2\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =a^2-\frac{1}{12}\end{align*}}$
(ア)、(イ)より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ S=\left\{ \begin{array}{ll}\sf \frac{1}{6}\left(\sqrt{-4a-1}\right)^3 & \left(\sf -\frac{1}{4}\lt a\leqq -\frac{1}{2}\right) \\ \sf a^2-\frac{1}{12} & \left(\sf a< -\frac{1}{2}\right) \\\end{array} \right.}\end{align*}}$
細かい場合分けに注意しましょう。
(ⅰ)、(ⅲ)の半直線はそれぞれ点A、Bで(ⅱ)の放物線と接しています。
テーマ:数学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2018/11/10(土) 02:04:00|
- 大学入試(数学) .関東の大学 .千葉大 2014
-
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| コメント:4
こんにちは。いつも勝手に参考にさせていただいております。
2014千葉大 数学7について質問があるのですがよろしいでしょうか?
下手な日本語になりますが、f(ⅹ)のグラフを考えた時に、定義域がx+1~xなので横軸がxで縦軸がf(x)ですよね。
で、その中でt+1のグラフを考えて、これは切片が1で傾きが1のグラフだと思うのですが、定義域を移動させながらt+1のグラフが正のところと負のところを考えて場合分けすると思うのです(違うかもしれないけど)。ここまでは何となくわかるのですが・・・。
気になるのは、横軸が変数xなのに、同じように変数であるtを扱った式をその中で考えてもいいのかどうかなのです。横軸がtなら何の問題もないのですが。計算過程で後にtにxが代入されるから同じことなのかなあとも思ったのですが、それでいいのかどうかしっくりこなかったのです。
もしよければおしえていただけないでしょうか。
- 2015/02/17(火) 17:10:22 |
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- スラッシュ(浪人生確定) #3hri4u1c
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わざわざコメントありがとうございます。
次のように2段階に分けて考えると、スッキリいくのではないかと思います。
まず、定積分を計算する際に、折れ線y=|t+1|のx≦t≦x+1の部分を考えますが、
このときは変数はtですので、横軸はtです。ここでは、xやx+1は定数扱いとなります。
で、定積分を計算すると、xだけの式になり、これにaを加えたものをf(x)としているので、
ここでは変数はxであり、横軸はxです。
具体的に図を描いて説明すれば分かりやすかったのですが、ここのコメントの返信欄には図を挿入出来ないようでして・・・・
分かりにくいようであれば、もう一度コメントいただけますでしょうか?何らかの形で、図を用いた解説をアップしたいと思います。
- 2015/02/17(火) 21:42:49 |
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- シケタキオア #-
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お答えいただきありがとうございます。
二段階で考えるという説明で理解できた気がします。
絶対値の場合分けとf(X)の全体像を一緒に考えてたからおかしくなったのだと思います。
まずは絶対値の場合分けを行うのですね。考えてみれば絶対値の場合分けは最優先でやれと言われてた気もします。
センターでも二次対策でも実力不足を痛感したので、これからの一年はできるだけ国立レベルの問題を解いて実力アップを図ろうと思います。
また質問することもあるかもしれませんが、お手数でなければそのときはどうぞよろしくお願いいたします。
- 2015/02/18(水) 12:24:31 |
- URL |
- スラッシュ(浪人生確定) #PTRa1D3I
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返信ありがとうございます。
> また質問することもあるかもしれませんが、お手数でなければそのときはどうぞよろしくお願いいたします。
いつでも構いませんので遠慮なさらずにどうぞ(^_^)v
- 2015/02/19(木) 13:05:31 |
- URL |
- シケタキオア #-
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