第1問
1つの角が120°の三角形がある。この三角形の3辺の長さ
x、y、zはx<y<zを満たす整数である。
(1) x+y-z=2を満たすx、y、zの組をすべて求めよ。
(2) x+y-z=3を満たすx、y、zの組をすべて求めよ。
(3) a、bを0以上の整数とする。x+y-z=2a3bを満たす
x、y、zの組の個数をaとbの式で表せ。
--------------------------------------------
【解答】
120°の角はこの三角形における最大角なので、
対辺も最大辺になるので、その長さはzである。
余弦定理を用いると、
z2=x2+y2-2xycos120°=x2+y2+xy
⇔ z2+xy=(x+y)2
⇔ (x+y-z)(x+y+z)=xy ・・・・①
ここで、
x+y-z=A (>0) ・・・・②
とおいてzを消去すると、①は
A(2x+2y-A)=xy
⇔ xy-2Ax-2Ay=-A2
⇔ (x-2A)(y-2A)3A2 ・・・・③
と変形できる。
この式において、x-2Aとy-2Aがともに負であるとすると、
②より
x=A+z-y>A (∵z>y)
y=A+z-x>A (∵z>x)
なので、
-A<x-2A<0 かつ -A<y-2A<0.
これらをかけると、、
0<(x-2A)(y-2A)<A2<3A2
となるので③を満たさない。
よって、
②および③を満たすとき、x-2Aとy-2Aはともに正である・・・・(※)
(1)
A=2のとき、③は
(x-4)(y-4)=12
となり、x-4、y-4はともに12の正の約数であり、
x-4<y-4なので、
(x-4,y-4)=(1,12)、(2,6)、(3,4)
⇔ (x,y)=(5,17)、(4,10)、(7,8)
これと②より、
(x,y,z)=(5,17,20)、(4,10,12)、(7,8,13)
(2)
A=3のとき、③は
(x-6)(y-6)=27
となり、x-6、y-6はともに27の正の約数であり、
x-6<y-6なので、
(x-6,y-6)=(1,27)、(3,9)
⇔ (x,y)=(5,33)、(9,15)
これと②より、
(x,y,z)=(5,33,35)、(9,15,21)
(3)
A=2a3bのとき、③は
(x-2a+13b)(y-2a+13b)=22a32b+1
となり、x-2a+13b, y-2a+13bはともに22a32b+1の
正の約数である。
よって、
(x,y)の組の個数は、22a32b+1の正の約数の個数に等しく、
(2a+1)(2b+2)個ある。
22a32b+1は平方数ではないので、x=yとなり得ず、
x<yであるものとx>yであるものは同数ずつあるので、
求める(x、y、z)の組の個数は、
(2a+1)(b+1)個
(※)の議論が少し難しいでしょうね。(1)、(2)は確実にキープしたいです。
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第2問
aを0以上の定数とする。関数y=x3-3a2xのグラフと
方程式|x|+|y|=2で表される図形の共有点の個数を
求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
方程式|x|+|y|=2は、4点(2,0)、(0,2)、(-2,0)、(0,-2)
を頂点とする正方形を表し、この正方形は原点について対称。
一方、f(x)=x3-3a2xとおくと、その導関数は
f’(x)=3x2-3a2=3(x-a)(x+a)
となり、a≧0なので、x=±aで f’(x)=0.
また、
f(-x)=-x3+3a2x=-f(x)
となるので、y=f(x)のグラフは、原点について対称である。
よって、以下は、x≧0の範囲で考える。
この範囲におけるf(x)の増減表は、下のようになる。

・y=f(x)が点(2,0)を通るとき
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 0=2^3-3a^2\cdot2\ \ \Leftrightarrow\ \ a=\frac{2\sqrt3}{3}\ \ (>0)\end{align*}}$
・y=f(x)が直線y=x-2接するとき
接点の座標を(t,f(t))とおくと、接線の方程式は
y-f(t)=f’(t)(x-t)
⇔ y=(3t2-3a2)(x-t)+(t3-3a2t)
⇔ y=(3t2-3a2)x-2t3
これがy=x-2と一致すればよいので、
3t2-3a2=1 かつ -2t3=-2
連立させて解くと、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf a=\frac{\sqrt6}{3}\ \ (>0)\end{align*}}$
以上より、x<0の範囲の共有点も考慮に入れると、
(ⅰ) 0≦a<$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{\sqrt6}{3}\end{align*}}$ のとき 2個
(ⅱ) a=$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{\sqrt6}{3}\end{align*}}$ のとき 4個
(ⅲ) $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{\sqrt6}{3}\end{align*}}$ <a< $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2\sqrt3}{3}\end{align*}}$ のとき 6個
(ⅳ) a=$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2\sqrt3}{3}\end{align*}}$ のとき 4個
(ⅴ) a>$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2\sqrt3}{3}\end{align*}}$ のとき 2個

まぁグラフのイメージさえつかめれば問題ないでしょう。
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第3問
定数a、b、c、dに対して、平面上の点(p,q)を点(ap+bq,cp+dq)に
移す操作を考える。ただし、(a,b,v,d)≠(1,0,0,1)である。
kを0でない定数とする。放物線C:y=x2-x+k上のすべての点は、
この操作によってC上に移る。
(1) a、b、c、dを求めよ。
(2) C上の点AにおけるCの接線と、点Aをこの操作によって移した点A’に
おけるOの接線は、原点で直交する。このときのkの値および点Aの座標
をすべて求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
点(p,q)がC上にあるとき、点(ap+bq,cp+dq)もC上にあるので、
q=p2-p+k ・・・・①
cp+dq=(ap+bq)2-(ap+bq)+k ・・・・②
まず、②を整理すると、
b2q2+2abpq+a2p2-(a+c)p-(b+d)q+k=0
これに①を代入すると、
b2(p2-p+k)2+2abp(p2-p+k)+a2p2
-(a+c)p-(b+d)(p2-p+k)+k=0 ・・・③
この式は任意のpについて成立するので、展開式におけるp4の係数を
比較すると、
b2=0 ⇔ b=0.
よって、③は
a2p2-(a+c)p-d(p2-p+k)+k=0
⇔ (a2-d)p2-(a+c-d)p+(a-d)k=0
と変形できるので、両辺の係数を比較すると、
a2-d=0 かつ a+c-d=0 かつ 1-d=0.
これらを連立させて解くと、
(a,c,d)=(1,0,1)、(-1,2,1).
題意より(a,b,c,d)≠(1,0,0,1)なので、
(a,b,c,d)=(-1,0,2,1)
(2)
点Aのx座標をpとすると、(1)より
A(p,p2-p+k)、 A’(-p,p2+p+k).
曲線Cの導関数は
y’=2x-1
なので、点A、A’における接線はそれぞれ、
y-(p2-p+k)=(2p-1)(x-p)
⇔ y=(2p-1)x-p2+k
y-(p2+p+k)=(-2p-1)(x+p)
⇔ y=(-2p-1)x-p2+k
これらが原点において直交するので、
-p2+k=0 かつ (2p-1)(-2p-1)=-1
連立させて解くと、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p=\pm\frac{1}{\sqrt2}\ \ ,\ \ k=p^2=\frac{1}{2}\end{align*}}$ .
よって、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ k=\frac{1}{2}\ \ ,\ \ A\ \left(\pm\frac{1}{\sqrt2}\ ,\ 1\mp\frac{1}{\sqrt2}\right)\ \ }\end{align*}}$ (複号同順)
条件のまま計算するだけですが、(1)では先にb=0を出しておかないと
式が長くなって煩雑です。
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第4問
xuz空間内の平面z=2上に点Pがあり、平面z-1上に点Qがある。
直線PQとxy平面の交点をRとする。
(1) P(0,0,2)とする。点Qが平面z-1上で点(0,0,1)を中心とする
半径1の円周上を動くとき、点Rの軌跡を求めよ。
(2) 平面z=1上に4点A(1,1,1)、B(1,-1,1)、C(-1,-1,1)、
D(-1,1,1)をとる。点Pが平面z=2上で点(0,0,2)を中心とする
半径1の円周上を動き、点Qが正方形ABCDの周上を動くとき、点Rが
動きうる領域をxy平面上に図示し、その面積を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
Qは(0,0,1)を中心とする半径1の円周上を動くので、
その座標は$\scriptsize\sf{\theta}$ を変数として
$\scriptsize\sf{Q\cos\theta,\sin\theta,1)}$
と表すことができる。
RはPQを2:1に外分する点なので、その座標は、
$\scriptsize\sf{R(2\cos\theta,2\sin\theta,0)}$
となる。
これは、Rが原点中心、半径2の円周上を動くことを表すので、
Rの軌跡の方程式は、
x2+y2=4 、 z=0
(2)
Pは(0,0,2)を中心とする半径1の円周上を動くので、
その座標は$\scriptsize\sf{\theta}$ を変数として
$\scriptsize\sf{P(\cos\theta,\sin\theta,2)}$
と表せる。
Qが線分AB上を動くとき、その座標はtを変数として、
Q(1,t,1) (-1≦t≦1)
と表すことができ、Rの座標を
R(X,Y,Z)
とおくと、
RはPQを2:1に外分する点なので、その座標は、
$\scriptsize\sf{\sf (X,Y,Z)=(2-\cos\theta,2t-\sin\theta,0)}$
となる。これより、
$\scriptsize\sf{\cos\theta=2-X, \\ \ \sin\theta=2t-Y}$
となるので、
$\scriptsize\sf{\sf\cos^2\theta+\sin^2\theta=(X-2)^2+(Y-2t)^2=1}$.
Rは点(2,2t,0)を中心とする半径1の円周上を動き、
-1≦t≦1より中心は点(2,-2,0)と(2,2,2)を
結ぶ線分上を動く。
このとき、この円が通過する領域は右図1のようになる。
図の対称性より、点Qが正方形の他の辺上を動くときも
同様に考えることができるので、Rが動きうる領域は
右図2のようになる。
この領域の面積は、

のようにして求めることができるので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf 6^2-2^2-4\left(1-\frac{\pi}{4}\right)=\underline{28-\pi}\end{align*}}$
(2)はちょっとしんどいでしょうね^^;;
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第5問
最初に1の目が上面にあるようにサイコロが置かれている。
その後、4つの側面から1つの面を無作為に選び、その面が
上面になるように置き直す操作をn回繰り返す。
なお、サイコロの向かい合う面の目の数の和は7である。
(1) 最後に1の目が上面にある確率を求めよ。
(2) 最後に上面にある目の数の期待値を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
k回(k=0,1,2,・・・,n)の操作の後、1の目が
上面にある確率をpk
側面にある確率をqk
下面にある確率をrk
とおくと、
pk+qk+rk=1 ・・・・①
1の目が上面や下面にある状態で操作を行うと、必ず側面に移る。
また、1の目が側面にある状態で操作を行うと、
1/4の確率で上面、1/2の確率で側面、1/4の確率で下面に移る。
これらのことを式で表すと、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_{k+1}=r_{k+1}=\frac{1}{4}\ q_k\end{align*}}$ ・・・・②
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q_{k+1}=p_k+\frac{1}{2}\ q_k+r_k\end{align*}}$ ・・・・③
また、最初1の目は上面にあるので、
p0=1、 q0=r0=0
であり、1回目の操作後に必ず側面に移るので、
q1-1、 p1=r1-0.
一方、①を③に代入して整理すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q_{k+1}=-\frac{1}{2}\ q_k+1\end{align*}}$
となり、この式は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q_{k+1}-\frac{2}{3}=-\frac{1}{2}\left(\ q_k-\frac{2}{3}\right)\end{align*}}$
と変形できるので、
数列 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left\{q_k-\frac{2}{3}\right\}\end{align*}}$ }は、初項 $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{3}\end{align*}}$ 、公比$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf -\frac{1}{2}\end{align*}}$ の等比数列である。
よって、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q_k-\frac{2}{3}=\frac{1}{3}\left(-\frac{1}{2}\right)^{k-1}\ \ \Leftrightarrow\ \ q_k=\frac{1}{3}\left(-\frac{1}{2}\right)^{k-1}+\frac{2}{3}\end{align*}}$ .
これと②より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_k=\frac{1}{4}\ q_{k-1}=\frac{1}{12}\left(-\frac{1}{2}\right)^{k-2}+\frac{1}{6}\end{align*}}$
となり、k=nとすると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ p_n=\frac{1}{12}\left(-\frac{1}{2}\right)^{n-2}+\frac{1}{6}\ \ }\end{align*}}$
(2)
1の目が側面にあるとき、上面の目は2、3、4、5のいずれかである。
よってn回の操作の後、2~5の目が上面になる確率はそれぞれ
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{4}\ q_n\end{align*}}$ である。
また、1の目が下面にあるとき、上面の目は6なので、
n回の操作の後、6の目が上面になる確率はrn.
よって、求める期待値Eは、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf E=1\cdot p_n+(2+3+4+5)\cdot \frac{1}{4}\ q_n+6\cdot r_n \end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =p_n+\frac{7}{2}\ q_n+6r_n\end{align*}}$
①より、qn=1-pn-rnなので、これを代入すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf E=p_n+\frac{7}{2}\ (1-p_n-r_n)+6r_n \end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{7}{2}+\frac{5}{2}\left(r_n- p_n\right)\end{align*}}$
さらに②より、pn=rnなので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ E=\frac{7}{2}\ \ }\end{align*}}$
去年もこの「連立漸化式タイプの確率」が出てましたね。
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- 2018/11/13(火) 02:10:00|
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