第1問
数列{an}、{bn}を次のように定義する。
a1=5、 b1=3
$\small\sf{\begin{align*} \sf \binom{a_{n+1}}{b_{n+1}}=\begin{pmatrix}\sf 5 &\sf 3 \\ \sf 3 &\sf 5 \end{pmatrix}\binom{a_n}{b_n}\ \ \ \ (n=1,2,3,\ldots)\end{align*}}$
また、自然数nについて、cn=an2-bn2とおく。
このとき、以下の問いに答えよ。
(1) cnをnを用いて表せ。
(2) kを自然数とするとき、自然数Lについて、
ak+L=akaL+bkbL
bk+L=bkaL+akbL
が成り立つことを、Lに関する数学的帰納法によって示せ。
(3) n>Lとなる自然数n、Lについて、
bk+L-cLbn-L=2anbL
が成り立つことを示せ。
(4) 2以上の自然数nについて、
$\small\sf{\begin{align*} \sf a_{2n}+\sum_{m=1}^{n-1}\ c_{n-m}\ a_{2m}=\frac{b_{2n+1}}{2b_1}-\frac{c_n}{2}\end{align*}}$
が成立することを示せ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
まず、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \binom{a_{n+1}}{b_{n+1}}=\begin{pmatrix}\sf 5 &\sf 3 \\ \sf 3 &\sf 5 \end{pmatrix}\binom{a_n}{b_n}\end{align*}}$
より、
an+1=5an+3bn ・・・・① bn+1=3an+5bn ・・・・②
①、②の辺々を加えると、
an+1+bn+1=8(an+bn)
となり、数列{an+bn}は公比8の等比数列になるので、
an+bn=(a1+b1)・8n-1=8n ・・・・③
①、②の辺々を引くと、
an+1-bn+1=2(an-bn)
となり、数列{an-bn}は公比2の等比数列になるので、
an-bn=(a1-b1)・2n-1=2n ・・・・④
ここで、
cn-an2-bn2=(an+bn)(an-bn)
なので、③、④より
cn=8n・2n=16n
(2)
ak+L=akaL+bkbL ・・・(A)
bk+L=bkaL+akbL ・・・(B)
(ⅰ) L=1のとき
(A)の左辺=ak+1
(A)の右辺=aka1+bkb1=5ak+3bk
①より、(A)の左辺=(A)の右辺となりOK.
(B)の左辺=bk+1
(B)の右辺=bka1+akb1=3ak+5bk
②より、(B)の左辺=(B)の右辺となりOK.
(ⅱ) L=mのとき、(A)、(B)がともに成立すると仮定すると、
ak+m=akam+bkbm ・・・(A’)
Bk+m=bkam+akbm ・・・(B’)
L=m+1のとき
ak+m+1
=5ak+m+3bk+m ←①より
=5(akam+bkbm)+3a(bkam+akbm) ←(A’)、(B’)より
=ak(5am+3bm)+bk(3am+5bm)
=akam+1+bkbm+1 ←①、②より
bk+m+1
=3ak+m+5bk+m ←②より
=3(akam+bkbm)+5(bkam+akbm) ←(A’)、(B’)より
=bk(5am+3bm)+ak(3am+5bm)
=bkam+1+bkbm+1 ←①、②より
よって、L=m+1のときも(A)、(B)ともに成立するので、
任意の自然数Lに対して題意を満たす。
(3)
(A)、(B)にk=n-Lを代入すると、
an-an-LaL+bn-LbL ・・・(A”)
bn=bn-LaL+an-LbL ・・・(B”)
(A”)の両辺に bLをかけると
anbL=an-LaLbL+bn-LbL2
(B”)の両辺に aLをかけると
bnaL=an-LaLbL+bn-LaL2
これら2式の差をとると
bnaL-anbL=(aL2-bL2)bn-L
=cLbn-L ・・・・⑤
よって、
bn+L-cLbn-L
=bnaL+anbL-cLbn-L ←(B)より
=bnaL+anbL-(bnaL-anbL) ←⑤より
=2anbL
となり、題意は示された。
(4)
(3)において、n=2m、L=1とすると、
b2m+1-c1b2m-1=2a2mb1 ・・・・⑥
両辺にcn-mをかけると、
cn-mb2m+1-cn-mc1b2m-1=2cn-ma2mb1
となり、(1)より
cn-mc1=16n-m・161=16n-m+1=cn-m+1
なので、
cn-mb2m+1-cn-m+1b2m-1=2cn-ma2mb1
この式は、m=1,2,・・・,n-1に対しても成り立つので、
cn-1b3-cnb1=2cn-1a2b1
cn-2b5-cn-1b3=2cn-2a4b1
cn-3b7-cn-2b5=2cn-3a6b1
・・・
c2b2n-3-c3b2n-5=2c2a2n-4b1
c1b2n-1-c2b2n-3=2c1a2n-2b1
これらの式を辺々加えると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf c_1\ b_{2n-1}-c_n\ b_1=2b_1\ \sum_{k=1}^{n-1}\ c_{n-m}\ a_{2m}\end{align*}}$ ・・・・⑦
また、⑥においてm=nとすると、
b2n+1-c1b2n-1=2a2nb1
となり、これと⑦を両辺加えると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf b_{2n+1}-c_n\ b_1=2a_{2n}\ b_1+2b_1\ \sum_{k=1}^{n-1}\ c_{n-m}\ a_{2m}\end{align*}}$
両辺を2b1(≠0)で割ると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{b_{2n+1}}{2b_1}-\frac{c_n}{2}=a_{2n}+\sum_{k=1}^{n-1}\ c_{n-m}\ a_{2m}\end{align*}}$
となり、題意を満たす。
式がたくさんあるので煩雑ですが、うまく誘導に乗れたでしょうか?
最悪の場合、
(1)で得た2つの式
an+bn=8n ・・・・③
an-bn=2n ・・・・④
から、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf a_n=\frac{8^n+2^n}{2}\ \ ,\ \ b_n=\frac{8^n-2^n}{2}\end{align*}}$
を求めてしまって、強引に計算してしまう手もあります。
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第2問
a2+b2=1を満たす正の実数a、bの組(a,b)の全体をSとする。
Sに含まれる(a,b)に対し、xya空間内に3点P(a,b,b)、
Q(-a,b、b)、R(0,0,b)をとる。また原点をOとする。このとき
以下の各問いに答えよ。
(1) 三角形OPQをx軸のまわりに1回転してできる立体をF1とする。
(a,b)がSの中を動くとき、F1の体積の最大値を求めよ。
(2) 三角形PQRをx軸のまわりに1回転してできる立体をF2とする。
$\small\sf{\begin{align*} \sf a=b=\frac{1}{\sqrt2}\end{align*}}$
のとき、F2のxy平面による切り口の周をxy平面上に図示せよ。
(3) 三角形OPRをx軸のまわりに1回転してできる立体をF3とする。
(a,b)がSの中を動くとき、F3の体積の最大値を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
a2+b2=1 ⇔ b2=1-a2 ・・・・①
a、b>0と①より、0<a<1 ・・・・②
x軸上に点H(t,0,0) (0≦t≦a)をとり、
Hを通ってx軸に垂直な平面を$\scriptsize\sf{\alpha}$ とする。
(1)
$\scriptsize\sf{\alpha}$ と線分OPとの交点をaとし、そのy座標およびz座標を
yA、zAとおく。
3点O、A、Pは一直線上にあるので、実数kを用いて、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \overrightarrow{\sf OA}=k\ \overrightarrow{\sf OP}\ \ \Leftrightarrow\ \ (t\ ,\ y_A\ ,\ z_A)=k\ (a\ ,\ b\ ,\ b)\end{align*}}$
と表すことができ、a≠0より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf k=\frac{t}{a}\ \ ,\ \ y_A=z_A=\frac{b\ t}{a}\end{align*}}$
となるので、点Aの座標は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf A\ \left(t\ ,\ \frac{b\ t}{a}\ ,\ \frac{b\ t}{a}\right)\end{align*}}$ .
よって、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf AH^2=0+\left(\frac{b\ t}{a}\right)^2+\left(\frac{b\ t}{a}\right)^2=\frac{2b^2\ t^2}{a^2}\end{align*}}$
また、$\scriptsize\sf{\alpha}$ と線分OPとの交点をBとすると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf B\ (t\ ,\ b\ ,\ b)\end{align*}}$
なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf BH^2=0+b^2+b^2=2b^2\end{align*}}$
F1を平面$\scriptsize\sf{\alpha}$ で切ったときの断面は、Hを中心とした、
半径がBHおよびAHである2つの円で囲まれた部分に
なるので、その面積をS1(t)とすると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf S_1(t)=\pi\ BH^2-\pi\ AH^2=\frac{2\pi\ b^2}{a^2}\left(a^2-t^2\right)\end{align*}}$ .
よって、F1の体積V1は、図の対称性を考慮に入れて、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf V_1=2\int_0^a\ S_1(t)\ dt\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{4\pi\ b^2}{a^2}\int_0^a\left(a^2-t^2\right)\ dt\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{4\pi\ b^2}{a^2}\left[a^2t-\frac{1}{3}t^3\right]_0^a\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{8\pi}{3}\ a\ b^2\end{align*}}$ .
これに①を代入すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf V_1=\frac{8\pi}{3}\ a(1-a^2)=\frac{8\pi}{3}\ (-a^3+a)\end{align*}}$
となり、これをaで微分すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf V_1\ '=\frac{8\pi}{3}\ (-3a^2+1)\end{align*}}$ .
②の範囲で増減表を書くと下の通り。

よって、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ V_1\ max=\frac{16}{27}\sqrt3\ \pi\ \ \ \left(a=\frac{1}{\sqrt3}\right)\ \ }\end{align*}}$
(2)
$\scriptsize\sf{\alpha}$ と線分PQとの交点をCとすると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf C\ \left(t\ ,\ \frac{bt}{a}\ ,\ b\right)\end{align*}}$ .
よって、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf CH^2=0+\left(\frac{bt}{a}\right)^2+b^2=\frac{b^2}{a^2}\ (t^2+a^2)\end{align*}}$ .
題意より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf a=b=\frac{1}{\sqrt2}\end{align*}}$
なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf BH=\sqrt2\ b=1\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf CH=\frac{b}{a}\sqrt{t^2-a^2}=\sqrt{t^2-\frac{1}{2}}\end{align*}}$ .
ここで、点BおよびCをx軸の周りに回転してできる円を考える。
これらの円がxy平面と交わる点をそれぞれB’、C’とすると、
B’H=BH、 C’H=CH
なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf B\ '(t\ ,\ \pm 1\ ,\ 0)\ \ ,\ \ C\ '\left(t\ ,\ \pm\sqrt{t^2-\frac{1}{2}}\ ,\ 0\right)\end{align*}}$
となる。(B’、C’ともに2点ずつあることに注意!)
tを
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 0\leqq t\leqq \frac{1}{\sqrt2}\end{align*}}$ ・・・・③
の範囲で動かすと、点B’は、2つの線分
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf y=\pm 1\ \ \ \ \left(0\leqq x\leqq \frac{1}{\sqrt2}\right)\end{align*}}$
上を動くことになる。
また、xy平面上の点C’の座標をC’(X,Y)とおくと、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf X=t\ \ ,Y=\pm\ \ \sqrt{t^2-\frac{1}{2}}\end{align*}}$
であり、これらからtを消去すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf Y=\pm\sqrt{X^2+\frac{1}{2}}\ \ \Leftrightarrow\ \ X^2-Y^2=-\frac{1}{2}\end{align*}}$
となるので、点C’は双曲線
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x^2-y^2=-\frac{1}{2}\ \ \ \ \left(0\leqq x\leqq \frac{1}{\sqrt2}\right)\end{align*}}$
上を動くことになる。
これらが、回転体F2をxy平面で
切ったときの切り口になるので、
図の対称性も考慮に入れて、
x<0の部分も図示すると、
右図のようになる。
(3)
F3を平面$\scriptsize\sf{\alpha}$ で切ったときの断面は、Hを中心とした、
半径がCHおよびAHである2つの円で囲まれた部分に
なるので、その面積をS3(t)とすると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf S_3(t)=\pi\ CH^2-\pi\ AH^2=\frac{\pi\ b^2}{a^2}\left(a^2-t^2\right)\end{align*}}$ .
よって、F1の体積V3は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf V_3=\int_0^a\ S_3(t)\ dt\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{\pi\ b^2}{a^2}\int_0^a\left(a^2-t^2\right)\ dt\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{1}{4}\ V_1\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{2\pi}{3}\ a\ b^2\end{align*}}$ .
(1)より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ V_3\ max=\frac{4}{27}\sqrt3\ \pi\ \ \ \left(a=\frac{1}{\sqrt3}\right)\ \ }\end{align*}}$
(3)はオマケですな。
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第3問
関数f(x)=x3-x2+xについて、以下の各問いに答えよ。
(1) f(x)はつねに増加する関数であることを示せ。
(2) f(x)の逆関数をg(x)とおく。x>0について、
$\small\sf{\begin{align*} \sf \sqrt[3]{\sf x}-1<\lt g (x)<\sqrt[3]{\sf x}+1\end{align*}}$
が成立することを示せ。
(3) b>a>0について
$\small\sf{\begin{align*} \sf 0<\int_a^b\frac{1}{x^2+1}\ dx\ <\ \frac{1}{a}\end{align*}}$
が成立することを示せ。
(4) 自然数nについて、(2)で定義されたg(x)を用いて
$\small\sf{\begin{align*} \sf A_n=\int_n^{2n}\frac{1}{\{g\ (x)\}^3+g\ (x)}\ dx\end{align*}}$
とおくとき、極限値 $\small\sf{\begin{align*} \sf \lim_{n\rightarrow\infty}\ A_n\end{align*}}$ を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
f(x)の導関数は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf f\ '(x)=3x^2-2x+1=3\left(x-\frac{1}{3}\right)^2+\frac{2}{3}\ >0\end{align*}}$
となるので、f(x)は常に増加する。
(2)
F1(x)=(x-1)3、F2(x)=(x+1)3 とおくと、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf f\ (x)-F_1(x)=(x^3-x^2+x)-(x-1)^3\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =2x^2-2x+1\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =2\left(x-\frac{1}{2}\right)^2+\frac{1}{2}\ >0\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf f\ (x)-F_2(x)=(x^3-x^2+x)-(x+1)^3\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =-4x^2-2x-1\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =-4\left(x+\frac{1}{4}\right)^2-\frac{3}{4}\ <0\end{align*}}$
となるので、すべてのxに対して
F1(x)<f(x)<F2(x) ・・・①
が成り立つ。
(1)よりf(x)は単調増加関数なので、逆関数g(x)も単調増加。
また、F1(x)およびF2(x)は単調増加関数なので、それぞれの
逆関数F1-1(x)、F2-1(x)も単調増加となる。
よって、
① ⇔ F2-1(x)<g(x)<F1-1(x) ・・・・②
ここで、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf y=F_1(x)=(x-1)^3\ \ \Leftrightarrow\ \ x=\sqrt[3]{\sf y}+1\end{align*}}$
となるので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf F_1^{-1}(x)=\sqrt[3]{\sf x}+1\end{align*}}$ .
同様に、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf F_2^{-1}(x)=\sqrt[3]{\sf x}-1\end{align*}}$
なので、②より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \sqrt[3]{\sf x}-1\lt g(x)<\sqrt[3]{\sf x}+1\end{align*}}$
(3)
区間a≦x≦bにおいて常に
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 0<\frac{1}{x^2+1}<\frac{1}{x^2}\end{align*}}$
が成り立つので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 0<\int_a^b\frac{1}{x^2+1}\ dx<\int_a^b\frac{1}{x^2}\ dx\end{align*}}$
ここで、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \int_a^b\frac{1}{x^2}\ dx=\left[-\frac{1}{x}\right]_a^b=\frac{1}{a}-\frac{1}{b}<\frac{1}{a}\ \ \ (\because b>0)\end{align*}}$ .
よって、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 0<\int_a^b\frac{1}{x^2+1}\ dx\ <\ \frac{1}{a}\end{align*}}$
が成り立つ。
(4)
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf A_n=\int_n^{2n}\frac{1}{\{g\ (x)\}^3+g\ (x)}\ dx\end{align*}}$
この式において、g(x)の逆関数はf(x)なので、
y=g(x) ⇔ x=f(y)=y3-y2+y ・・・・③
このとき、xをyで微分すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{dx}{dy}=3y^2-2y+1\end{align*}}$
となるので、Anの積分を③のように置換すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf A_n=\int_{g(n)}^{g(2n)}\frac{1}{y^3+y}\cdot (3y^2-2y+1)\ dy\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\int_{g(n)}^{g(2n)}\frac{3y^2+1}{y^3+y}\ dy-\int_{g(n)}^{g(2n)}\frac{2y}{y^3+y}\ dy\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\left[\log(y^3+y)\right]_{g(n)}^{g(2n)}-2\int_{g(n)}^{g(2n)}\frac{1}{y^2+1}\ dy\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\log\frac{g(2n)^2+g(2n)}{g(n)^3+g(n)}-2\int_{g(n)}^{g(2n)}\frac{1}{y^2+1}\ dy\end{align*}}$ ・・・・④
まず、(2)より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(\sqrt[3]{\sf 2n}-1\right)^3+\sqrt[3]{\sf 2n}-1<{g(2n)}^3+g(2n)<\left(\sqrt[3]{\sf 2n}+1\right)^3+\sqrt[3]{\sf 2n}+1\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(\sqrt[3]{\sf n}-1\right)^3+\sqrt[3]{\sf n}-1<{g(n)}^3+g(n)<\left(\sqrt[3]{\sf n}+1\right)^3+\sqrt[3]{\sf n}+1\end{align*}}$
なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{\left(\sqrt[3]{\sf 2n}-1\right)^3+\sqrt[3]{\sf 2n}-1}{\left(\sqrt[3]{\sf n}+1\right)^3+\sqrt[3]{\sf n}+1}<\frac{{g(2n)}^2+g(2n)}{{g(n)}^3+g(n)}<\frac{\left(\sqrt[3]{\sf 2n}+1\right)^3+\sqrt[3]{\sf 2n}+1}{\left(\sqrt[3]{\sf n}-1\right)^3+\sqrt[3]{\sf n}-1}\end{align*}}$ .
この式の左辺は、分子分母をnで割ると、その極限は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \lim_{n\rightarrow\infty}\frac{\left(\sqrt[3]{\sf 2}-\frac{1}{\sqrt[3]{\sf n}}\right)^3+\frac{\sqrt[3]{\sf 2}}{\sqrt[3]{\sf n^2}}-\frac{1}{n}}{\left(1+\frac{1}{\sqrt[3]{\sf n}}\right)^3+\frac{1}{\sqrt[3]{\sf n^2}}+\frac{1}{n}}=\lim_{n\rightarrow\infty}\frac{\left(\sqrt[3]{\sf 2}-0\right)^3+0-0}{\left(1+0\right)^3+0+0}=2\end{align*}}$
となり、右辺も同様に、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \lim_{n\rightarrow\infty}\frac{\left(\sqrt[3]{\sf 2}+\frac{1}{\sqrt[3]{\sf n}}\right)^3+\frac{\sqrt[3]{\sf 2}}{\sqrt[3]{\sf n^2}}+\frac{1}{n}}{\left(1-\frac{1}{\sqrt[3]{\sf n}}\right)^3+\frac{1}{\sqrt[3]{\sf n^2}}-\frac{1}{n}}=\lim_{n\rightarrow\infty}\frac{\left(\sqrt[3]{\sf 2}+0\right)^3+0+0}{\left(1-0\right)^3+0-0}=2\end{align*}}$ .
はさみうちの原理より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \lim_{n\rightarrow\infty}\frac{{g(2n)}^2+g(2n)}{{g(n)}^3+g(n)}=2\end{align*}}$
となるので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \lim_{n\rightarrow\infty}\ \log\frac{{g(2n)}^2+g(2n)}{{g(n)}^3+g(n)}=\log 2\end{align*}}$ ・・・・⑤
一方、f(0)=0より、g(0)=0であり、
g(x)は単調増加なので、自然数nに対して
0<n<2n ⇔ 0<g(n)<g(2n).
これと(3)より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 0<\int_{g(n)}^{g(2n)}\frac{1}{y^2+1}\ dy\ <\ \frac{1}{g\ (n)}\end{align*}}$
であり、さらに(2)より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \ \frac{1}{g\ (n)}<\frac{1}{\sqrt[3]{\sf n}-1}\end{align*}}$
なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 0<\int_{g(n)}^{g(2n)}\frac{1}{y^2+1}\ dy\ <\frac{1}{\sqrt[3]{\sf n}-1}\end{align*}}$ .
ここで、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \lim_{n\rightarrow\infty}\ \frac{1}{\sqrt[3]{\sf n}-1}=0\end{align*}}$
なので、はさみうちの原理より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \lim_{n\rightarrow\infty}\ \int_{g(n)}^{g(2n)}\frac{1}{y^2+1}\ dy=0\end{align*}}$ ・・・・⑥
④~⑥より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \lim_{n\rightarrow\infty}\ A_n=\underline{\ \log 2\ \ }\end{align*}}$
なるほど、うまく問題を作ってありますねぇ^^
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