第1問
1個のさいころを3回続けて投げるとき、1回目に出る目をL、
2回目に出る目をm、3回目に出る目をnで表し、3次式
f(x)=x3+Lx2+mx+n
を考える。このとき、以下の問いに答えよ。
(1) f(x)が(x+1)2で割り切れる確率を求めよ。
(2) 関数y=f(x)が極大値も極小値もとる確率を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
3次式f(x)を二次式(x+1)2で割ったときの商は1次式であり、
f(x)のx3の係数が1、定数項がnであることを考えると、
f(x)=(x+1)2(x+n)
と表すことができる。右辺を展開すると、
x3+(n+2)x2+(2n+1)x+n
となり、係数を比較すると、
L=n+2 かつ m=2n+1.
ここで、L、mはともにさいころの目なので、1以上6以下の整数である。
すなわち、
1≦n+2≦6 かつ 1≦2n+1≦6
となる。これを満たす自然数nの値は、n=1、2のみであるので、
条件を満たすL、m、nの組は、
(L、m、n)=(3,3,1)、(4,5,2)
の2組である。よって、求める確率は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2}{6^3}=\underline{\ \frac{1}{108}\ \ }\end{align*}}$
(2)
f(x)の導関数は
f’(x)=3x2+2Lx+m
なので、f(x)が極大値と極小値をとるためには、
f’(x)=0が2つの異なる実解$\scriptsize\sf{\alpha,\ \beta}$ ($\scriptsize\sf{\alpha}$ <$\scriptsize\sf{\beta}$ )をもつ必要がある。
すなわち、その判別式が正になればよく、
D/4=L2-3m>0 ・・・・①
となればよい。
このとき、
x=$\scriptsize\sf{\alpha}$ の前後でf’(x)の符号は正から負に変わるので、
x=$\scriptsize\sf{\alpha}$ でf(x)は極大となり 、
x=$\scriptsize\sf{\beta}$ 前後でf’(x)の符号は負から正に変わるので、
x=$\scriptsize\sf{\beta}$ でf(x)は極小となる。
よって、y=f(x)が極大値も極小値もとるための必要十分条件は①である。
L=1のとき
① ⇔ 3m<1 となり、これを満たすmは存在しない.
L=2のとき
① ⇔ 3m<4 となり、これを満たすmはm=1
L=3のとき
① ⇔ 3m<9 となり、これを満たすmはm=1、2
L=4のとき
① ⇔ 3m<16 となり、これを満たすmはm=1、2、3、4、5
L=5のとき
① ⇔ 3m<25 となり、これを満たすmはm=1、2、3、4、5、6
L=6のとき
① ⇔ 3m<36 となり、これを満たすmはm=1、2、3、4、5、6
nの値は何でもよく、L、mの値は上に挙げた20組が条件を満たすので、
求める確率は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{20}{6^2}=\underline{\ \frac{5}{9}\ \ }\end{align*}}$
書き出して数えるだけなので、阪大の確率にしては易しめですね。
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- 2012/02/25(土) 19:43:30|
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第2問
次の2つの条件(ⅰ)、(ⅱ)をみたす自然数nについて考える。
(ⅰ) nは素数ではない。
(ⅱ) L、mを1でもnでもないnの正の約数とすると、必ず
|L-m|≦2
である。
このとき、以下の問いに答えよ。
(1) nが偶数のとき、(ⅰ)、(ⅱ)をみたすnをすべて求めよ。
(2) nが7の倍数のとき、(ⅰ)、(ⅱ)をみたすnをすべて求めよ。
(3) 2≦n≦1000の範囲で、(ⅰ)、(ⅱ)をみたすnをすべて求めよ。
----------------------------------------
【解答】
条件(ⅰ)より、nの約数は3個以上あり、そのうちで
2番目に小さい数をA
2番目に大きい数をB
とすると、
AB=n ・・・・①
である。また、条件(ⅱ)より、
B-A=0、1、2 ・・・・②
となる。
ここで、Aが合成数であるとすると、Aより小さい1以外の約数が
存在することになり、Aが2番目に小さいことに矛盾するので、
Aは素数である。
(1)
nが偶数のとき、A=2となるので、②より
B=2、3、4.
これと①より、
n=4、6、8
(3)
(ア)B=Aのとき
①より、n=A2であり、Aは素数なので
n=22、32、52、72、112、132、172、192、232、292、312、・・・
このうち、2≦n≦1000を満たすものは、
n=4、9、25、49、121、169、289、361、529、841、961
(イ)B=A+1のとき
①より、n=A(A+1)であり、連続2整数の積は偶数なので、
nは偶数。
条件を満たすものは、(1)より、
A=2、B=3
のみであり、このときのnは、
n=6
(ウ)B=A+2のとき
Aは素数なので、A、Bの組として考えられるのは、
(A,B)=(2,4)、(3,5)、(5,7)、(7,9)、(11,13)、(13,15)、
(17,19)、(19,21)、(23,25)、(29,31)、(31,33)、
(37,39)、(41,43)、・・・・
このうちで、BがAよりも小さい約数をもつと、
Aが2番目に小さいという条件に反するので、
そのようなものを除くと、
(A,B)=(2,4)、(3,5)、(5,7)、(11,13)、(17,19)、
(29,31)、(31,33)、(41,43)、・・・・
①と2≦n≦1000より、
n=8、15、35、143、323、899
以上より、(ⅰ)、(ⅱ)を満たすnは、
4、6、8、9、15、25、35、49、121、143、
169、289、323、361、529、841、899、961
(2)
(3)より、nが7の倍数となるのは、
n=35、49
面倒なので、(3)を先にやっちゃいました。
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- 2012/02/25(土) 20:15:14|
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第3問
xy平面上で考える。不等式$\small{\sf y\lt -x^2+16}$ の表す領域をDとし、
不等式$\small{\sf |x-1|+|y|\leqq 1}$ の表す領域をEとする。このとき、以下の
問いに答えよ
(1) 領域Dと領域Eをそれぞれ図示せよ。
(2) A(a,b)を領域Dに属する点とする。点A(a,b)を通り傾きが
$\small{\sf -2a}$ の直線と放物線$\small{\sf y=-x^2+16}$ で囲まれた部分の面積
をS(a,b)とする。S(a,b)をa、bを用いて表せ。
(3) 点A(a,b)が領域Eを動くとき、S(a,b)の最大値を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
領域Dは、放物線$\scriptsize{\sf y=-x^{2}+16}$ の下側の部分を表す。
領域Eについて、
$\scriptsize{\sf x\geqq 1\ ,\ y\geqq 0}$ のとき、$\scriptsize{\sf x+y\leqq 2}$
$\scriptsize{\sf x\geqq 1\ ,\ y\lt 0}$ のとき、$\scriptsize{\sf x-y\leqq 2}$
$\scriptsize{\sf x\lt 1\ ,\ y\geqq 0}$ のとき、$\scriptsize{\sf -x+y\leqq 0}$
$\scriptsize{\sf x\lt 1\ ,\ y\lt 0}$ のとき、$\scriptsize{\sf -x-y\leqq 0}$
これらを図示すると下図のようになる。

(2)
A(a,b)は領域D内にあるので、
$\scriptsize{\sf b\lt -a^2+16\ \ \Leftrightarrow\ \ 16-a^2-b\gt 0}$ ・・・・①
Aを通り、傾き$\scriptsize{\sf -2a}$ の直線をLとすると、
$\scriptsize{\sf L:\ y-b=-2a(x-a)}$
$\scriptsize{\sf \ \ \Leftrightarrow\ \ y=-2ax+2a^2+b}$
これと放物線C:y=-x2+16との交点を求めると、
$\scriptsize{\sf -x^2+16=-2ax+2a^2+b}$
$\scriptsize{\sf \ \ \Leftrightarrow\ \ x^2-2ax+2a^2+b-16=0}$ ・・・・②
②の判別式は
$\scriptsize{\sf D/4=a^2-(2a^2+b-16)}$
$\scriptsize{\sf =16-a^2-b\gt 0}$ (∵①より)
となるので、異なる2解をもつ。
その2解を$\scriptsize{\sf p,\ q\ (p\lt q)}$ とおくと、解と係数の関係より
$\scriptsize{\sf p+q=2a\ ,\ \ pq=2a^2+b-16}$
であり、
$\scriptsize{\sf (q-p)^2=(p+q)^2-4pq}$
$\scriptsize{\sf =(2a)^2-4(2a^2+b-16)}$
$\scriptsize{\sf =4(16-a^2-b)}$ ・・・・③
LとCとで囲まれる部分の面積は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf S\ (a\ ,\ b)=\int_p^q\left\{(-x^2+16)-(-2ax+2a^2+b)\right\}dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =-\int_p^q\ (x-p)(x-q)dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{1}{6}\ (q-p)^3\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{1}{6}\ \{(q-p)^2\}^{\frac{3}{2}}\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\underline{\ \frac{4}{3}\ \sqrt{\left(16-a^2-b\right)^{3}}\ \ }\end{align*}}$ ←③より
(3)
A(a,b)が領域E内にあるので、
$\scriptsize{\sf |a-1|+|b|\leqq 1}$ ・・・・・④
(2)より、$\scriptsize{\sf a^2+b}$ の値が最小になるとき、S(a,b)は最大になる。
$\scriptsize{\sf a^2+b=k}$
とおくと、
$\scriptsize{\sf b=-a^2+k}$ ・・・・⑤
と変形でき、
ab平面において、④、⑤が共有点をもつような
kの値のうちで、kの値が最小になるのは、
放物線⑤が④の境界
線分$\scriptsize{\sf b=-a\ (0\leqq a\leqq 1)}$
と接するときである。
bを消去して
$\scriptsize{\sf -a=-a^2+k}$
$\scriptsize{\sf \ \ \Leftrightarrow\ \ a^2-a-k=0}$ ・・・・⑥
判別式を考えると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf D=1+4k=0\ \ \Leftrightarrow\ \ k=-\frac{1}{4}\end{align*}}$
このとき⑥の解は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf a=\frac{1}{2}\end{align*}}$
となり、条件$\scriptsize{\sf 0\leqq a\leqq 1}$ を満たすのでOK。
以上より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf D=1+4k=0\ \ \Leftrightarrow\ \ k=a^2+b=-\frac{1}{4}\end{align*}}$
のときS(a,b)は最大となり、その値は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf S\ (a\ ,b)=\frac{4}{3}\ \sqrt{\left(16+\frac{1}{4}\right)^{3}}\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\underline{\ \frac{65}{6}\ \sqrt{65}\ \ }\end{align*}}$
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- 2012/02/25(土) 20:45:30|
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