第1問
aは正の実数とし、座標平面内の点(x0,y0)は2つの曲線
C1: y=|x2-1|、 C2: y=x2-2ax+2
の共有点であり、|x0|≠1を満たすとする。C1とC2が(x0,y0)で共通の接線を
もつとき、C1とC2で囲まれる部分の面積を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
$\scriptsize\sf{f_1\left(x\right)=-x^2+1\ \ \left(-1\leq x\leq 1\right)}$
$\scriptsize\sf{f_2\left(x\right)=x^2-1\ \ \left(x\leq -1\ ,\ 1\leq x\right)}$
$\scriptsize\sf{g\left(x\right)=-x^2-2ax+2}$
とおくと、それぞれの導関数は
$\scriptsize\sf{f_1'\left(x\right)=-2x\ \ ,\ \ f_2'\left(x\right)=2x\ \ ,\ \ g\ '\left(x\right)=2x-2a}$
x0<-1または1≦x0とすると、
$\scriptsize\sf{f_2'\left(x_0\right)=g\ '\left(x_0\right)\ \ \Leftrightarrow\ \ 2x_0=2x_0-2a}$
となるが、これを満たすx0は存在しないので、-1<x0<1である。
よって、
$\scriptsize\sf{f_1'\left(x_0\right)=g\ '\left(x_0\right)\ \ \Leftrightarrow\ \ -2x_0=2x_0-2a\ \ \Leftrightarrow\ \ x_0=\frac{a}{2}}$
$\scriptsize\sf{f_1\left(x_0\right)=g\left(x_0\right)\ \ \Leftrightarrow\ \ -x_0^2+1=x_0^2-2ax_0+2\ \ \Leftrightarrow
\ \ x_0=\frac{a}{2}}$
これら2式を連立させて解くと、a>0より
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf a=\sqrt2\ \ ,\ \ x_0=\frac{\sqrt2}{2}\end{align*}}$
このとき、C1とC2のx<-1または1<xの範囲の共有点のx座標は
$\scriptsize\sf{f_2\left(x\right)=g\left(x\right)\ \ \Leftrightarrow\ \ x^2-1=x^2-2\sqrt2\ x+2\ \ \Leftrightarrow
\ \ x=\frac{3\sqrt2}{4}}$
であり、2曲線の位置関係は下図のようになるので、囲まれる部分の面積Sは
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf S&=\sf \int_{\sqrt2/2}^{3\sqrt2/4}\left(x^2-2\sqrt2x+2\right)dx-\int_{\sqrt2/2}^1\left(-x^2+1\right)dx-\int_1^{3\sqrt2/3}\left(x^2-1\right)dx \\ &=\sf\left[\frac{x^3}{3}-\sqrt2x^2+2x\right]_{\sqrt2/2}^{3\sqrt2/4}+\left[\frac{x^3}{3}-x\right]_{\sqrt2/2}^1-\left[\frac{x^3}{3}-x\right]_1^{3\sqrt2/4} \\ &=\sf \underline{\frac{23}{24}\sqrt2-\frac{4}{3}}\end{align*}}$

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- 2018/03/06(火) 23:57:00|
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第2問
1辺の長さが1の正方形ABCDにおいて、辺BC上にBと異なる点Pを
取り、線分APの垂直2等分線が辺AB、辺ADまたはその延長と交わ
る点をそれぞれQ、Rとする。
(1) 線分QRの長さをsin∠BAPを用いて表せ。
(2) 点Pが動くとき線分QRの長さの最小値を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
∠BAP=θとおくと、△ABPにおいて
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf AP&=\sf \frac{AB}{\cos\theta}=\frac{1}{\cos\theta}\end{align*}}$
APの中点をMとおくと、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf AM&=\sf \frac{1}{2}AP=\frac{1}{\cos\theta}\end{align*}}$
∠ARM=θなので、△ARMにおいて
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf AR&=\sf \frac{AM}{\sin\theta}=\frac{1}{2\sin\theta\cos\theta}\end{align*}}$
△AQRにおいて
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf QR&=\sf\frac{AR}{\cos\theta} \\ &=\sf \frac{1}{2\sin\theta\cos^2\theta}\\ &=\sf \frac{1}{2\sin\theta\left(1-\sin^2\theta\right)}\\ &=\sf \underline{\frac{1}{2\sin\angle BAP\left(1-\sin^2\angle BAP\right)}}\end{align*}}$
(2)
0<∠BAP≦ $\scriptsize\sf{\frac{\pi}{4}}$ より0<sin∠BAP≦$\scriptsize\sf{\frac{1}{\sqrt2}}$
ここで、関数f(x)を
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf f\left(x\right)=2x\left(1-x^2\right)=2x-2x^3\ \ \ \left(0\lt x\leq\frac{1}{\sqrt2}\right)\end{align*}}$
とおくと、導関数は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf f\ '\left(x\right)&=\sf 2-6x^2 \end{align*}}$
なので、f(x)の増減は次のようになる。

これより、f(x)の最大値は
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf f\left(x\right)_{max}&=\sf f\left(\frac{1}{\sqrt3}\right) =\frac{4}{3\sqrt3} \end{align*}}$
なので、QRの最小値は
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf QR_{min}&=\sf \frac{1}{f\left(x\right)_{max}} =\underline{\frac{3\sqrt3}{4}} \end{align*}}$
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- 2018/03/07(水) 23:57:00|
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第3問
n3-7n+9が素数となるような整数nをすべて求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
N=n3-7n+9
とおくと、
N=(n3-n)-6n+9=(n-1)n(n+1)-6n+9
と変形でき、3連続整数の積(n-1)n(n+1)は6の倍数なので、
Nは3の倍数である。
よって、Nが素数であるとき
N=n3-7n+9=3
⇔ n3-7n+6=(n-1)(n-2)(n+3)=0
⇔ n=1,2,-3
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- 2018/03/08(木) 23:57:00|
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第4問
四面体ABCDはAC=BD、AD=BCを満たすとし、辺ABの中点をP、
辺CDの中点をQとする。
(1) 辺ABと線分PQは垂直であることを示せ。
(2) 線分PQを含む平面αで四面体ABCDを切って2つの部分に分ける。
このとき、2つの部分の体積は等しいことを示せ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
AC=BD、AD=BCより△ACD≡△BDCなので、∠ACQ=∠BDQ.
これとCQ=DQより、△ACQ≡△BDQ.
よって、AQ=BQなので△ABQは二等辺三角形であり、
PはABの中点なので、PQ⊥AB.
(2)
(1)と同様にPQ⊥CD.
線分PQ上に点Oをとり、Oを通りPQに垂直な平面をβとする。
さらに、βと辺AC、BC、BD、ADとの交点をそれぞれR、S、T、U
とすると、
β//ABより、AB//RS//UT ・・・・・・①
β//CDより、CD//ST//RU ・・・・・・②
よって、四角形RSTUは平行四辺形である。

一方、①、②より、
AR:RC=BS:SC=BT:TD
なので、AR=BTであり、△ABC≡△BADであることから△ARP≡△BTP.
これより、△POR≡△POTとなるので、OR=OTである。
同様に、OS=OUなので、Oは平行四辺形RSTUの対角線の交点、すなわち
対称の中心となる。
よって、平面βと線分PQを含む平面αとの交線(Lとする)は、Oを通るので、
平行四辺形RSTUの面積を2等分する。
よって、四面体ABCDをαで切断してできる2つの立体(V1、V2とする)を
βで切断した時の断面積は等しい。
このことはOの位置によらないので、V1とV2の体積は等しい。
(2)が書きにくいでしょうね。四面体ABCDは線分PQについて対称なので、
二等分されるのは当たり前といえば当たり前なのですが。
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- 2018/03/09(金) 23:57:00|
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第5問
整数が書かれている球がいくつか入っている袋に対して、次の一連の
操作を考える。ただし各級に書かれている整数は1つのみとする。
(ⅰ) 袋から無作為に球を1個取り出し、その球に書かれている整数を
kとする。
(ⅱ) k≠0の場合、整数kが書かれた球を1個新たに用意し、取り出し
た球とともに袋に戻す。
(ⅲ) k=0の場合、袋の中にあった球に書かれていた数の最大値よりも
1大きい整数が書かれた球を1個新たに用意し、取り出した球と
ともに袋に戻す。
整数0が書かれている球が1個入っており他の球が入っていない袋を
用意する。この袋に上の一連の操作を繰り返しn回行った後に、袋の中
にある球に書かれている数の合計をXnとする。例えばX1は常に1である。
以下n≧2として次の問いに答えよ。
(1) Xn≧ $\small\sf{\frac{\left(n+2\right)\left(n-1\right)}{2}}$ である確率を求めよ。
(2) Xn≦n+1である確率を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
m回目(m=1,2,・・・,n)の操作で取り出した球に書かれている
整数をamとする。
(1)
題意を満たすのは次の2つの場合である。
・a1=a2=・・・=an=0のとき
袋の中には0,1,2,・・・,nの球が1個ずつ入っているので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf X_n&=\sf 0+1+2+3+\cdots +\left(n-1\right)+n\\ &=\sf\frac{1}{2}n\left(n+1\right) \\ &=\sf \frac{1}{2}n^2+\frac{1}{2}n\end{align*}}$
・a1=a2=・・・=an-1=0 かつ an=n-1のとき
袋の中には0,1,2,・・・,n-2の球が1個ずつとn-1の球が2個
入っているので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf X_n&=\sf \left\{0+1+2+3+\cdots +\left(n-2\right)\right\}+2\left(n-1\right)\\ &=\sf \frac{1}{2}n^2+\frac{1}{2}n-1\\ &=\sf \frac{\left(n+2\right)\left(n-1\right)}{2}\end{align*}}$
よって、求める確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf 1\cdot\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{3}\cdot\cdots\cdot\frac{1}{n}+1\cdot\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{3}\cdot\cdots\cdot\frac{1}{n}=\underline{\frac{2}{n!}}\end{align*}}$
(2)
題意を満たすのは次の2つの場合である。
・a1=0 かつ a2=a3=・・・=an=1のとき
袋の中には0の球が1個と1の球がn個入っているので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf X_n&=\sf 0+1\cdots n=n\end{align*}}$
・a1=0 かつ a2,a3,・・・,anのうち、1つだけが0で
残りがすべて1であるとき、袋の中には0の球が1個、1の球がn-1個、
2の球が1個入っているので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf X_n&=\sf 0+1\cdots \left(n-1\right)+2=n+1\end{align*}}$
ここで、2以上n以下の整数mに対して
a1=0
a2=a3=・・・=am-1=1
am=0
am+1=am+2=・・・=an=1
とすると、この場合の確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf 1\cdot\frac{1}{2}\cdot\frac{2}{3}\cdot\cdots\frac{k-2}{k-1}\times\frac{1}{k}\times\frac{k-1}{k+1}\cdot\frac{k}{k+2}\cdot\cdots\cdot\frac{n-3}{n-1}\cdot\frac{n-2}{n}=\frac{1}{n\left(n-1\right)}\end{align*}}$
であり、m=2,3,・・・,nなので
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf \sum_{m=2}^n\frac{1}{n\left(n-1\right)}=\frac{n-1}{n\left(n-1\right)}=\frac{1}{n}\end{align*}}$
以上より、求める確率は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf \frac{1}{n}+\frac{1}{n}&=\underline{\frac{2}{n}}\end{align*}}$
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- 2018/03/10(土) 23:57:00|
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