第1問
不等式0<a<1を満たす定数aに対して、曲線C:y=a-1-logx (x>0)を考える。
sを正の実数とし、曲線C上の点P(s,a-1-logs)における接線がx軸、y軸と交わ
る点をそれぞれ(u(s),0)、(0,v(s))とする。このとき、次の問に答えよ。
必要があれば、$\small\sf{\begin{align*} \sf \lim_{x\rightarrow +0}x\log x=0\end{align*}}$ を証明なしで使ってよい。
(1) 関数u(s)、v(s)をsの式で表せ。
(2) 関数t=u(s)、t=v(s) の2つのグラフを、増減・凹凸および交点の座標に注意して、
同じst平面上に図示せよ。
(3) 関数t =u(s)、t=v(s) の2つのグラフで囲まれた図形をt軸のまわりに1回転させ
てできる立体の体積を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
Cの導関数は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(a-1-\log x\right)'=-\frac{1}{x}\end{align*}}$
なので、点Pにおける接線の方程式は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf y-\left(a-1-\log s\right)=-\frac{1}{s}\left(x-s\right)\ \ \Leftrightarrow\ \ y=-\frac{1}{s}x+a-\log s\end{align*}}$
x切片は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 0=-\frac{1}{s}u\left(s\right)+a-\log s\ \ \Leftrightarrow\ \ u\left(s\right)=\underline{\sf s\left(a-\log s\right)}\end{align*}}$
y切片は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf v\left(s\right)=\underline{\sf a-\log s}\end{align*}}$
(2)
u(s)の第一次および第二次導関数は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf u\ '\left(s\right)=\left(a-\log s\right)+s\cdot\left(-\frac{1}{s}\right)=a-1-\log s\ \ ,\ \ u\ ''\left(s\right)=-\frac{1}{s}\end{align*}}$
となるので、u(s)の増減および凹凸は次のようになる。

一方、v(s)の第一次および第二次導関数は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf v\ '\left(s\right)=-\frac{1}{s}\ (<0)\ \ ,\ \ v\ ''\left(s\right)=\frac{1}{s^2}\ (>0)\end{align*}}$
となるので、t=v(s)は上に凸な曲線で、単調に減少する。
また、2曲線の交点のs座標は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf u\left(s\right)=v\left(s\right)&\ \ \Leftrightarrow\ \ \sf s\left(a-\log s\right)=a-\log s\\ &\ \ \Leftrightarrow\ \ \sf s=1\ \ ,\ \ \log s=a\\ &\ \ \Leftrightarrow\ \ \sf s=1\ ,\ e^a \end{align*}}$
以上より、2曲線の概形は下図のようになる。

(3)
求める体積をVとおくと、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf V&=\sf \pi\int_0^a\bigg\{u^{-1}\left(t\right)\bigg\}^2dt-\pi\int_0^a\bigg\{v^{-1}\left(t\right)\bigg\}^2dt\\ &=\sf \pi\int_{e^a}^1s^2\left(a-1-\log s\right)ds-\pi\int_{e^a}^1s^2\cdot\left(-\frac{1}{s}\right)ds\\ &=\sf \pi\bigg\{\left[\frac{1}{3}s^3\left(a-1-\log s\right)\right]_{e^a}^1-\int_{e^a}^1\frac{1}{3}s^3\cdot\left(-\frac{1}{s}\right)ds\bigg\}+\pi\int_{e^a}^1sds\\ &=\sf \pi\left[\frac{1}{3}s^3\left(a-1-\log s\right)+\frac{1}{9}s^3+\frac{1}{2}s^2\right]_{e^a}^1\\ &=\sf \underline{\sf \left(\frac{2}{9}e^{3a}-\frac{1}{2}e^{2a}+\frac{1}{3}a+\frac{5}{18}\right)\pi}\end{align*}}$
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第2問
下図のような立方体を考える。この立方体の8つの頂点の上を点Pが次の
規則で移動する。時刻0では点Pは頂点Aにいる。時刻が1増えるごとに点
Pは、今いる頂点と辺で結ばれている頂点に等確率で移動する。例えば時
刻nで点Pが頂点Hにいるとすると、時刻n+1では、それぞれ $\small\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{3}\end{align*}}$ の確率で
頂点D、E、Gのいずれかにいる。自然数n≧1に対して、(ⅰ)点Pが時刻n
までの間一度も頂点Aに戻らず、かつ時刻nで頂点B、D、Eのいずれかに
いる確率をpn、(ⅱ)点Pが時刻nまでの間一度も頂点Aに戻らず、かつ時刻
nで頂点C、F、Hにいる確率をqn、(ⅲ)点Pが時刻nまでの間一度も頂点Aに
戻らず、かつ時刻nで頂点Gにいる確率をrn、とする。このとき、次の問に答
えよ。
(1) p2、q2、r2とp3、q3、r3を求めよ。
(2) n≧2のとき、pn、qn、rnを求めよ。
(3) 自然数m ≧1に対して、点Pが時刻2mで頂点Aに初めている確率smを
求めよ。
(4) 自然数m≧2に対して、点Pが時刻2mで頂点Aに戻るのがちょうど2回目
となる確率をtmとする。このとき、tm<smとなるmをすべて求めよ。

--------------------------------------------
【解答】
(1)
時刻0にAにあったPは、時刻1に必ずB、D、Eのいずれかにいるので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_1=1\ \ ,\ \ q_1=r_1=0\end{align*}}$
時刻1にB、D、EにあったPは、時刻2に $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2}{3}\end{align*}}$ の確率でC、F、Hに移動するので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_2=\underline{\sf 0}\ \ ,\ \ q_2=\underline{\sf \frac{2}{3}}\ \ ,\ \ r_2=\underline{\sf 0}\end{align*}}$
時刻2にC、F、HにあったPは、時刻3に $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2}{3}\end{align*}}$ の確率でB、D、Eに移動し、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{3}\end{align*}}$ の確率でGに移動するので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_3=\frac{2}{3}\cdot\frac{2}{3}=\underline{\sf \frac{4}{9}}\ \ ,\ \ q_3=\underline{\sf 0}\ \ ,\ \ r_3=\frac{2}{3}\cdot\frac{1}{3}=\underline{\sf \frac{2}{9}}\end{align*}}$
(2)
(1)と同様に考えると、
・時刻nにB、D、EにあったPは、時刻n+1に $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2}{3}\end{align*}}$ の確率でC、F、Hに移動する。
・時刻nにC、F、HにあったPは、時刻n+1に $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2}{3}\end{align*}}$ の確率でB、D、Eに移動し、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{3}\end{align*}}$ の確率でGに移動する。
・時刻nにGにあったPは、時刻n+1には必ずC、F、Hに移動する。
以上より、自然数nに対して、pn、qn、rn、pn+1、qn+1、rn+1の間には、関係式
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_{n+1}=\frac{2}{3}q_n\ \ ,\ \ q_{n+1}=\frac{2}{3}p_n+r_n\ \ ,\ \ r_{n+1}=\frac{1}{3}q_n\end{align*}}$
が成り立つ。これらよりpn+1、rn+1を消去すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf q_{n+2}&=\sf \frac{2}{3}p_{n+1}+r_{n+1}\\ &=\sf \frac{2}{3}\cdot\frac{2}{3}q_n+\frac{1}{3}q_n\\ &=\sf \frac{7}{9}q_n\end{align*}}$
【qnについて】
nが偶数のとき、q2=$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2}{3}\end{align*}}$ より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q_{n}=\frac{7}{9}q_{n-2}=\left(\frac{7}{9}\right)^2q_{n-4}=\cdots\cdots =\left(\frac{7}{9}\right)^{\frac{n-3}{2}}q_{2}=\underline{\sf \frac{2}{3}\left(\frac{7}{9}\right)^{\frac{n-2}{2}}}\end{align*}}$
nが奇数のとき、q3=0より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q_{n}=\frac{7}{9}q_{n-2}=\left(\frac{7}{9}\right)^2q_{n-4}=\cdots\cdots =\left(\frac{7}{9}\right)^{\frac{n-3}{2}}q_{3}=\underline{\sf 0}\end{align*}}$
【pnについて】
nが偶数のとき、n-1は奇数なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_{n}=\frac{2}{3}q_{n-1}=\underline{\sf 0}\end{align*}}$
nが3以上の奇数のとき、n-1は偶数なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p_{n}=\frac{2}{3}q_{n-1}=\underline{\sf \frac{4}{9}\left(\frac{7}{9}\right)^{\frac{n-3}{2}}}\end{align*}}$
【rnについて】
nが偶数のとき、n-1は奇数なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf r_{n}=\frac{2}{3}q_{n-1}=\underline{\sf 0}\end{align*}}$
nが3以上の奇数のとき、n-1は偶数なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf r_{n}=\frac{2}{3}q_{n-1}=\underline{\sf \frac{2}{9}\left(\frac{7}{9}\right)^{\frac{n-3}{2}}}\end{align*}}$
(3)
点Pが時刻2mで頂点Aに初めているためには、時刻2m-1まで一度もAに戻らず、
時刻2m-1にB、D、Eにいる必要があり、この状態からAに移動すればよいので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf s_{m}=\frac{1}{3}p_{2m-1}\end{align*}}$
よって、m=1のときは、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf s_{m}=\frac{1}{3}p_{1}=\underline{\sf \frac{1}{3}}\end{align*}}$
m≧2のときは(2)より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf s_{m}=\frac{1}{3}\cdot\frac{4}{9}\left(\frac{7}{9}\right)^{m-2}=\underline{\sf \frac{4}{27}\left(\frac{7}{9}\right)^{m-2}}\end{align*}}$
(4)
時刻を2k(k=1,2,・・・,m-1)に初めてAに戻る確率はskであり、
この状態から時刻2mに2回目にAに戻る確率はsm-kである。
k=1,2,・・・,m-1なので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf t_m&=\sf \sum_{k=1}^{m-1}s_k\ s_{m-k}\\ &=\sf s_1s_{m-1}+s_2s_{m-2}+s_3s_{m-3}+\ldots +s_{m-2}s_2+s_{m-1}s_1\\ &=\sf 2s_1s_{m-1}+\sum_{k=2}^{m-2}s_k\ s_{m-k}\\ &=\sf 2\cdot\frac{1}{3}\cdot\frac{4}{27}\left(\frac{7}{9}\right)^{m-3}+\sum_{k=2}^{m-2}\bigg\{\frac{4}{27}\left(\frac{7}{9}\right)^{k-2}\cdot\frac{4}{27}\left(\frac{7}{9}\right)^{m-k-2}\bigg\}\\ &=\sf \frac{8}{81}\left(\frac{7}{9}\right)^{m-3}+\frac{16}{729}\sum_{k=2}^{m-2}\left(\frac{7}{9}\right)^{m-4}\\ &=\sf \frac{8}{63}\left(\frac{7}{9}\right)^{m-2}+\frac{16}{441}\cdot\left(m-3\right)\left(\frac{7}{9}\right)^{m-2}\\ &=\sf \frac{8}{441}\left(2m+1\right)\left(\frac{7}{9}\right)^{m-2}\end{align*}}$
よって、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf t_m\lt s_m&\ \ \Leftrightarrow\ \ \sf \frac{8}{441}\left(2m+1\right)\left(\frac{7}{9}\right)^{m-2}<\frac{4}{27}\left(\frac{7}{9}\right)^{m-2}\\ &\ \ \Leftrightarrow\ \ \sf 6\left(2m+1\right)<49\\ &\ \ \Leftrightarrow\ \ \sf m<\frac{43}{12}\end{align*}}$
これを満たす2以上の整数mの値は
m=2,3
(3)までは文系と共通です。
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第3問
xyz空間の2点A(0,0,2)、P(a,b,0)を通る直線をLとする。また、点
(2,0,0)を中心とし、半径が2である球面をSで表し、Sのうちz座標が
z>0を満たす部分をTとする。このとき、次の問に答えよ。
(1) L上に点Qがある。実数tを$\small\sf{\begin{align*} \sf \overrightarrow{\sf AQ}\end{align*}}$ =t$\small\sf{\begin{align*} \sf \overrightarrow{\sf AP}\end{align*}}$ で定めるとき、点Qの座標をa、b、
tを使って表せ。
(2) LがSと相異なる2点で交わるような実数a、bに関する条件を求め、ab
平面上に図示せよ。
(3) LがTと相異なる2点で交わるような実数a、bに関する条件を求め、ab
平面上に図示せよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf \overrightarrow{\sf OQ}&=\sf \overrightarrow{\sf OA}+t\overrightarrow{\sf AP}\\ &=\sf \left(0,0,2\right)+t\left(a,b,-2\right)\\ &=\sf \left(at,bt,2-2t\right)\end{align*}}$
より、Qの座標は(at,bt,2-2t)
(2)
球面Sの方程式は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(x-2\right)^2+y^2+z^2=\left(\sqrt2\right)^2\end{align*}}$
であり、(1)で求めたQがS上にあるとき
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(at-2\right)^2+\left(bt\right)^2+\left(2-2t\right)^2=\left(\sqrt2\right)^2\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \ \ \Leftrightarrow\ \ \left(a^2+b^2+4\right)t^2-2\left(2a+4\right)t+6=0\end{align*}}$ ・・・・・・(*)
SとLが相異なる2点で交わるとき、(*)が異なる2つの実数解を
もてばよいので、判別式を考えると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf D/4&=\sf \left(2a+4\right)^2-6\left(a^2+b^2+4\right)\\ &=\sf -2a^2-6b^2+16a-8>0\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \ \ \Leftrightarrow\ \ a^2-8a+3b^2+4<0\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \ \ \Leftrightarrow\ \ \underline{\sf \frac{\left(a-4\right)^2}{12}+\frac{b^2}{4}<1}\end{align*}}$
これをab平面上に図示すると、下図のようになる。
(境界線上の点は含まない)

(3)
点Qのz座標が正のとき
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 2-2t>0\ \ \Leftrightarrow\ \ t<1\end{align*}}$
TとLが相異なる2点で交わるとき、(*)がt<1の範囲に異なる2つの実数解を
もてばよい。
(*)の左辺を
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf f(t)&=\sf \left(a^2+b^2+4\right)t^2-2\left(2a+4\right)t+6\\ &=\sf \left(a^2+b^2+4\right)\left(t-\frac{2a+4}{a^2+b^2+4}\right)^2+6-\frac{\left(2a+4\right)^2}{a^2+b^2+4}\end{align*}}$
とおくと、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf f\left(1\right)=\left(a^2+b^2+4\right)-2\left(2a+4\right)+6>0\ \ \Leftrightarrow\ \ \left(a-2\right)^2+b^2>2\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf \frac{2a+4}{a^2+b^2+4}>1&\ \ \Leftrightarrow\ \ \sf a^2+a^2-2a>0\\ &\ \ \Leftrightarrow\ \ \sf \left(a-1\right)^2+b^2>1 \end{align*}}$
これと(2)より、求める条件は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\sf \frac{\left(a-4\right)^2}{12}+\frac{b^2}{4}<1\ \ ,\ \ \left(a-2\right)^2+b^2>2\ \ ,\ \ \left(a-1\right)^2+b^2>1}\end{align*}}$
これをab平面上に図示すると、下図のようになる。
(境界線上の点は含まない)

これは一番とっつきやすい問題ですね。
3曲線はすべて点(±1,1)を通ります。
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第4問
nを自然数とする。0でない複素数からなる集合Mが次の規則(Ⅰ)、(Ⅱ)、
(Ⅲ)を満たしている。
(Ⅰ) 集合Mはn個の要素からなる。
(Ⅱ) 集合Mの要素zに対して、$\small\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{z}\end{align*}}$ と-zはともに集合Mの要素である。
(Ⅲ) 集合Mの要素z、wに対して、その積zwは集合Mの要素である。
ただし、z=wの場合も含める。
このとき、次の問に答えよ。
(1) 1および-1は集合Mの要素であることを示せ。
(2) nは偶数であることを示せ。
(3) n=4のとき、集合Mは一通りに定まることを示し、その要素をすべて求めよ。
(4) n=6のとき、集合Mは一通りに定まることを示し、その要素をすべて求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
(Ⅱ)より、 集合Mの要素zに対して、z-1 と-zもMの要素である。
よって、(Ⅲ)より、
z・z-1=1 、-z・z-1=-1
もMの要素になる。
(2)
(Ⅱ)Mの要素z1に対して、-z1もMの要素なので、集合M1={z1,-z1}は
Mの部分集合である。
また、z2≠±z1であるMの要素z2が存在すると、集合M2={z2,-z2}は
Mの部分集合である。
さらに、z3≠±z1、±z2であるMの要素z3が存在すると、集合M3={z3,-z3}は
Mの部分集合である。
以下も同様に考えると、
M=M1∪M2∪M3∪・・・
であり、M1、M2、M3、・・・・は互いに共通部分を持たないので、
Mの要素の個数nは偶数となる。
(3)
n=4のとき、z≠0,±1である複素数zを用いて、
M={±1,±z}
と表すことができる。
このとき、(Ⅱ)よりz-1 もMの要素であるが、z≠0,±1より、
z-1≠±1 かつ z-1≠z なので、
z-1=-z ⇔ z2=-1 ⇔ z=±i
となり、Mの要素は
M={±1、±i }
と一通りに定まる。
(4)
(Ⅱ)より、 z≠±1である集合Mの要素zに対して、z-1 と-zもMの要素であり、
さらに、-z-1もMの要素となる。
ここで、z≠0,±1,±i である複素数zを考えると、
6数±1,±z,±z-1はすべて異なるので、
n=6のとき、
M={±1,±z,±z-1}
と表すことができる。
(Ⅲ)より、z・z=z2もMの要素であるが、z≠0,±1,±i より、
z2≠±1 かつ z2≠±z
よって、z≠±1より
z2=±z-1 ⇔ z3=±1 ⇔ z=$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1\pm\sqrt3\ i}{2}\ ,\ \frac{-1\pm\sqrt3\ i}{2}\end{align*}}$
となり、Mの要素は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ M=\pm 1\ ,\ \frac{1\pm\sqrt3\ i}{2}\ ,\ \frac{-1\pm\sqrt3\ i}{2}}\end{align*}}$
と一通りに定まる。
(3)、(4)の答えは何となく予想できますが、答案にするのは難しいでしょうね。
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