第1問
xy平面において、放物線y=x2をCとする.また、実数kを与えたとき、
y=x+kで定まる直線をLとする.
(1) -2<x<2の範囲でCとLが2点で交わるとき、kの満たす条件を
求めよ.
(2) kが(1)の条件を満たすとき、CとLおよび2直線x=-2、x=2で
囲まれた3つの部分の面積の和Sをkの式で表せ.
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【解答】
(1)
CとLの交点を求める.
$\scriptsize\sf{\sf x^2=x+k}$
$\scriptsize\sf{\sf \ \ \Leftrightarrow\ \ x^2-x-k=0}$ ・・・①
この二次方程式が$\scriptsize\sf{\sf -2\lt x\lt 2}$ の範囲に異なる2つの実数解をもてばよい.
ここで、①の左辺をf(x)とおくと、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf f\ (x)=\left(x-\frac{1}{2}\right)^2-k-\frac{1}{4}\end{align*}}$
と変形できる.
条件を満たすためには、グラフが右図のようになればよく、
そのためには、
(ア) -2<放物線の軸<2
(イ) $\scriptsize\sf{\sf f(-2)\gt 0}$
(ウ) $\scriptsize\sf{\sf f(2)\gt 0}$
(エ) ①の判別式>0
の4つを満たす必要がある.
まず、軸は$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x= \frac{1}{2}\end{align*}}$ なので、(ア)は常に満たす.
(イ)より、$\scriptsize\sf{\sf f(-2)=4+2-k\gt 0\ \ \Leftrightarrow\ \ k\lt 6}$
(ウ)より、$\scriptsize\sf{\sf f(2)=4-2-k\gt 0\ \ \Leftrightarrow\ \ k\lt 2}$
(エ)より、$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf D=1+4k\gt 0\ \ \Leftrightarrow\ \ k\gt - \frac{1}{4}\end{align*}}$
以上より、求めるkの値の範囲は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ -\frac{1}{4}\lt k<2\ \ }\end{align*}}$
(2)
①の解を求めると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x=\frac{1\pm\sqrt{1+4k}}{2}\end{align*}}$
これらをp、q(p<q)とすると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q-p=\sqrt{1+4k}\end{align*}}$ ・・・②
求める部分は右図の水色部分のようになるので、
その面積Sは、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf S=\int_{-2}^{p}\ \{x^2-(x+k)\}\ dx+\int_{p}^{q}\ \{(x+k)-x^2\}\ dx+\int_{q}^{2}\ \{x^2-(x+k)\}\ dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\int_{-2}^{p}\ f\ (x)\ dx-\int_{p}^{q}\ f\ (x)\ dx+\int_{q}^{2}\ f\ (x)\ dx \end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\int_{-2}^{p}\ f\ (x)\ dx+\int_{p}^{q}\ f\ (x)\ dx+\int_{q}^{2}\ f\ (x)\ dx -2\int_{p}^{q}\ f\ (x)\ dx\end{align*}}$ ←(※)
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\int_{-2}^{2}\ f\ (x)\ dx -2\int_{p}^{q}\ f\ (x)\ dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\int_{-2}^{2}\ (x^2-x-k)\ dx -2\int_{p}^{q}\ (x-p)(x-q)\ dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =2\int_{0}^{2}\ (x^2-k)\ dx -2\cdot\left(-\frac{1}{6}\right)(q-p)^3\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =2\left[\frac{1}{3}x^3-kx \right]_{0}^{2} +\frac{1}{3}\left(\sqrt{1+4k}\right)^3\end{align*}}$ ←②より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\underline{\ \frac{16}{3}-4k +\frac{1}{3}\left(\sqrt{1+4k}\right)^3\ \ }\end{align*}}$
p、qの値は汚いですが、うまく計算すれば楽になります。
重要なのは(※)の変形です。
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf {\color{blue}\int_{-2}^{p}\ f\ (x)\ dx+\int_{p}^{q}\ f\ (x)\ dx+\int_{q}^{2}\ f\ (x)\ dx =\int_{-2}^{2}\ f\ (x)\ dx}\end{align*}}$
と、積分区間がまとめられる上、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf {\color{blue}\int_{p}^{q}\ (x-p)(x-q)\ dx=-\frac{1}{6}(q-p)^3}\end{align*}}$
の公式も使えるので、一石二鳥です!
テーマ:数学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2011/12/04(日) 23:57:00|
- 大学入試(数学) .関西の国立大学 .大阪大 文系 2007
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第2問
nを2以上の自然数とする。1つのさいころをn回投げ、第1回目から第n回目
までに出た目の最大公約数をGとする.
(1) G=3となる確率をnの式で表せ.
(2) Gの期待値をnの式で表せ.
--------------------------------------------
【解答】
以下、G=k (k=1,2,・・・,6)となる確率をP(k)と表すことにする。
(1)
G=3またはG=6となるためには、3または6の目のみが出ればよい.
その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(\frac{1}{3}\right)^n\end{align*}}$
G=6となるのは、n回すべて6の目が出ればよいので、その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf P(6)=\left(\frac{1}{6}\right)^n\end{align*}}$
よって、G=3となる確率は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf P(3)=\underline{\ \left(\frac{1}{3}\right)^n-\left(\frac{1}{6}\right)^n\ \ }\end{align*}}$
この考え方、気づきますかね?
ぱっと思い浮かばない場合は、n=2やn=3など小さい値で
実験してみてください。
(2)
G=6と同様に、G=5となるためには、n回すべて5の目が出ればよいので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf P(5)=\left(\frac{1}{6}\right)^n\end{align*}}$
G=4のときも同様.
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf P(4)=\left(\frac{1}{6}\right)^n\end{align*}}$
G=2またはG=4またはG=6となるためには、偶数の目のみが出ればよい.
その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(\frac{1}{2}\right)^n\end{align*}}$
よって、G=2となる確率は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf P(2)=\left(\frac{1}{2}\right)^n-P(4)-P(6)\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\left(\frac{1}{2}\right)^n-2\left(\frac{1}{6}\right)^n\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\sf P(1)+P(2)+P(3)+P(4)+P(5)+P(6)=1}$ より、
Gの期待値Eの値は、
$\scriptsize\sf{\sf E=1\cdot P(1)+2P(2)+3P(3)+4P(4)+5P(5)+6P(6)}$
$\scriptsize\sf{\sf =\left\{1-P(2)-P(3)-P(4)-P(5)-P(6)\right\}}$
$\scriptsize\sf{\sf +2P(2)+3P(3)+4P(4)+5P(5)+6P(6)}$
$\scriptsize\sf{\sf =1+P(2)+2P(3)+3P(4)+4P(5)+5P(6)}$
P(2)~P(6)の値を代入すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf E=1+\left(\left(\frac{1}{2}\right)^{\sf n}-2\left(\frac{1}{6}\right)^{\sf n}\right)+2\left(\left(\frac{1}{3}\right)^{\sf n}-\left(\frac{1}{6}\right)^{\sf n} \right)+(3+4+5)\cdot\left(\frac{1}{6}\right)^{\sf n}\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\underline{\ 1+\left(\frac{1}{2}\right)^{\sf n}+2\left(\frac{1}{3}\right)^{\sf n}+8\left(\frac{1}{6}\right)^{\sf n}\ \ }\end{align*}}$
わざわざP(1)を求めなくても、上のように処理すれば
少しだけ楽になりますね。
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- 2011/12/05(月) 23:57:00|
- 大学入試(数学) .関西の国立大学 .大阪大 文系 2007
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