第1問
次の問に答えよ。
(1) 漸化式xn+1-a=-2xn+2a (aは定数)で定まる数列
x1、x2、x3、・・・の一般項xnをx1、aを用いて表せ。
(2) xy平面において曲線C:y=f(x)=x3-3ax2 (aは定数)を
考える。C上に点P1(t1,f(t1))をとる。ただし、t1≠aとする。
P1におけるCの接線とCの交点のうち、P1と異なるものを
P2(t2,f(t2))とする。t2をt1、aを用いて表せ。
(3) さらに、P2におけるCの接線とCの交点のうち、P2と異なる
ものをP3とする。以下同様にP4、P5、P6、・・・を定める。
P1、P2、P3、・・・はすべて異なることを示せ。
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【解答】
(1)
与えられた漸化式は、
xn+1-a=-2(xn-a)
と変形できる。
ここで、pn=xn-a とおくと、
p1=x1-a
pn+1=-2pn
これより、数列{pn}は、初項x1+a、公比-2の等比数列になるので、
pn=(-2)n-1(x1-a)
よって、
xn=(-2)n-1(x1-a)+a
まぁこれは教科書レベルなので大丈夫かと。
(2)
f’(x)=3x2-6ax なので、
点P1(t1,f(t1))における接線L1の方程式は、
y-(t13-3at12)=(3t12-6at1)(x-t1)
⇔ y=(3t12-6at1)x-2t13+3at12
これとCとの交点を求めると、
x3-3ax2=(3t12-6at1)x-2t13+3at12 ・・・・①
⇔ x3-3ax2-(3t12-6at1)x+2t13-3at12=0
⇔ (x-t1){x2+(t1-3a)x2-2t12+3at1}=0
⇔ (x-t1)2(x+2t1-3a)=0 ・・・①’
⇔ x=t1、-2t1+3a
ここで、t2≠t1なので、
t2=-2t1+3a
CとL1は点P1で接するので、①はx=t1を重解にもちます。
このことに気づいていれば、①’のように(x-t1)2を因数にもつので、
計算は楽になると思います。
(3)
(2)と同様に考えると、
tn+1=-2tn+3a
が得られる。これを変形すると、
tn+1-a=-2(tn-a)
となり、(1)より、
tn=(-2)n-1(t1-a)+a ・・・②
m≠nとして、2点PmとPnが一致すると仮定すると、
tm=tn
⇔ (-2)m-1(t1-a)+a=(-2)n-1(t1-a)+a
⇔ (t1-a){(-2)m-1-(-2)n-1}=0
ここで、t1-a≠0より
(-2)m-1=(-2)n-1
これを満たすのは、m=nのときであるが、もとの仮定m≠nに矛盾する。
従って、m≠nのとき、2点PmとPnが一致することはあり得ない。
よって、P1、P2、P3、・・・はすべて異なる点である。
この手の問題をやったことのない人には、ちょっと難しいですかね。
一致しないことの証明は、上のように背理法を用いるときれいにかけると思います。
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- 2011/12/01(木) 23:57:00|
- 大学入試(数学) .関西の国立大学 .神戸大 文系 2007
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第2問
xy平面における曲線C:y=x2と直線L:y=ax (aは正の定数)に
ついて、次の問に答えよ。
(1) Lと平行な、Cの接線mの方程式をaを用いて表せ。
(2) 原点Oとmの距離をaを用いて表せ。
(3) LとCの交点のうちO以外のものをPとする。線分OPを一辺
四角形OPQRが長方形となるように、m上に2点Q、Rをとる。
この長方形の面積が2となるときのaの値を求めよ。
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【解答】
(1)
接点の座標を(t,t2)とおくと、y’=2xなので、
接線mの方程式は、
y-t2=2t(x-t)
⇔ y=2tx-t2 ・・・①
と表される。ここで、L//mなので、傾きを比較すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf a=2t\ \ \Leftrightarrow\ \ t=\frac{a}{2}\end{align*}}$
これと①より、mの方程式は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ y=a\ x-\frac{a^2}{4}\ \ }\end{align*}}$
まぁOKでしょ。
(2)
点と直線の距離の公式を用いると、
原点(0,0)から直線m:4ax-4y-a2=0までの距離dは、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf d=\frac{|0-0-a^2|}{\sqrt{(4a)^2+(-4)^2}}=\underline{\ \frac{a^2}{4\sqrt{a^2+1}}\ \ }\end{align*}}$
点と直線の距離の公式(通称「点直」)は大丈夫ですか?
(3)
CとLの交点を求めると、
x2=ax ⇔ x=0,a
Pは原点Oと異なるので、
P(a,a2).

長方形OPQRは右図のようになり、
その面積Sは
S=OP×d
で求めることができる。
ここで、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf OP=\sqrt{a^2+(a^2)^2}=a\sqrt{a^2+1}\end{align*}}$
なので、S=2より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf S=a\sqrt{a^2+1}\times\frac{a^2}{4\sqrt{a^2+1}}=2\end{align*}}$
⇔ a3=8
⇔ (a-2)(a2+2a+4)=0
aは実数なので、
a=2
こういう問題は確実に得点しなければいけません。
取りこぼし=不合格 です!
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- 2011/12/02(金) 23:57:00|
- 大学入試(数学) .関西の国立大学 .神戸大 文系 2007
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第3問
次の問に答えよ。
(1) 1,2,3の3種類の数字から重複を許して3つ選ぶ。選ばれた数
の和が3の倍数となる組み合わせをすべて求めよ。
(2) 1の数字を書いたカードを3枚、2の数字を書いたカードを3枚、
3の数字を書いたカードを3枚、計9枚用意する。この中から無
作為に、一度に3枚のカードを選んだとき、カードに書かれた数
の和が3の倍数となる確率を求めよ。
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【解答】
(1)
・和が3になるもの
(1,1,1)
・和が6になるもの
(1,2,3)、(2,2,2)
・和が9になるもの
(3,3,3)
和が9より大きくなることはないので、3数の組み合わせは以上の4通り。
(2)
9枚のカードの中から3枚取り出すとき、取り出し方の総数は、
9C3=84通り.
・3枚のカードの組み合わせが(1,1,1)、(2,2,2)、(3,3,3)になる
取り出し方はそれぞれ1通りずつある。
・3枚のカードの組み合わせが(1,2,3)になる取り出し方は、1,2,3のカードが
それぞれ3まいずつあるので、全部で3×3×3=27通り
よって、求める確率は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{3+27}{84}=\underline{\ \frac{5}{14}\ \ }\end{align*}}$
この年の問題は第1問の(3)が少し難しいだけで、
それ以外は一問も落とせない感じですね。
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- 2011/12/03(土) 23:57:00|
- 大学入試(数学) .関西の国立大学 .神戸大 文系 2007
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