第1問
座標平面上の直線y=-1をL1、直線y=1をL2とし、x軸上の2点
O(0,0)、A(a,0)を考える。点P(x,y)について、次の条件を考える。
d(P,L1)≧PO かつ d(P,L2)≧PA ……①
ただし、d(P,L)は点Pと直線Lの距離である。
(1) 条件①を満たす点Pが存在するようなaの値の範囲を求めよ。
(2) 条件①を満たす点P全体がなす図形の面積Sをaを用いて表せ。
ただし、aの値は(1)で求めた範囲にあるとする。
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【解答】
(1)
題意より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf d\left(P , L_1 \right)\geqq PO\ \ \Leftrightarrow\ \ |y+1|\geqq\sqrt{x^2+y^2}\ \ (\geqq 0)\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf d\left(P , L_2 \right)\geqq PO\ \ \Leftrightarrow\ \ |y-1|\geqq\sqrt{\left(x-a\right)^2+y^2}\ \ (\geqq 0)\end{align*}}$
であり、それぞれの両辺を2乗すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf y^2+2y+1\geqq x^2+y^2\ \ \Leftrightarrow\ \ y\geqq\frac{1}{2}x^2-\frac{1}{2}\end{align*}}$ ……(ⅰ)
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf y^2-2y+1\geqq x^2+2ax+a^2+y^2\ \ \Leftrightarrow\ \ y\leqq -\frac{1}{2}\left(x-a\right)^2+\frac{1}{2}\end{align*}}$ ……(ⅱ)
となる。
ここで、放物線C1、C2を
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf C_1:\ y=\frac{1}{2}x^2-\frac{1}{2}\ \ ,\ \ C_2:\ y= -\frac{1}{2}\left(x-a\right)^2+\frac{1}{2}\end{align*}}$
とおくと、C1とC2が共有点を持つとき、(ⅰ)、(ⅱ)を同時に満たす
(x,y)が存在し、条件①を満たすことになる。
よって、C1、C2の2式を連立させると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{2}x^2-\frac{1}{2}= -\frac{1}{2}\left(x-a\right)^2+\frac{1}{2}\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \ \ \Leftrightarrow\ \ 2x^2-2ax+a^2-2=0\end{align*}}$ ……(#)
となるので、(#)の判別式をDとすると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf D/4=a^2-2\left(a^2-2\right)\geqq 0\ \ \Leftrightarrow\ \ \underline{\ -2\leqq a\leqq 2}\end{align*}}$
となればよく、これが求めるaの値に範囲である。
(2)
(#)の2解をx1、x2(x1<x2)とすると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf x_1=\frac{a-\sqrt{4-a^2}}{2}\ \ ,\ \ x_2=\frac{a+\sqrt{4-a^2}}{2}\end{align*}}$
となり、これらがC1とC2n共有点のx座標である。
また、x1<x<x2の範囲で常にC2はC1の上側にあるので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf S=\int_{x_1}^{x_2}\left\{-\frac{1}{2}\left(x-a\right)^2+\frac{1}{2}-\left(\frac{1}{2}x^2-\frac{1}{2}\right)\right\}dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =-\int_{x_1}^{x_2}\left(x-x_1\right)\left(x-x_2\right)dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{1}{6}\left(x_2-x_1\right)^3\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{1}{6}\left(\frac{a+\sqrt{4-a^2}}{2}-\frac{a-\sqrt{4-a^2}}{2}\right)^3\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\underline{\ \frac{1}{6}\left(\sqrt{4-a^2}\right)^3}\end{align*}}$
(2)は、6分の1公式を使わないと計算が死にます。
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理系との共通問題です。
第2問
以下の問いに答えよ。
(1) 任意の自然数aに対し、a2を3で割った余りは0か1であることを
証明せよ。
(2) 自然数a、b、cがa2+b2=3c2を満たすと仮定すると、a、b、cは
すべて3で割り切れなければならないことを証明せよ。
(3) a2+b2=3c2を満たす自然数a、b、cは存在しないことを証明せよ。
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【解答】
以下の合同式は、すべてmod3で考える。
(1)
a≡0のとき、a2≡0
a≡1のとき、a2≡1
a≡2のとき、a2≡4≡1
よって、a2≡0 または a2≡1 となり、題意は示された。
(2)
a2+b2=3c2 ……(ⅰ)
が成り立つとき、3c2≡0なので、
a2+b2≡3c2≡0 ……(ⅱ)
である。
(1)より、a2≡0 または a2≡1であり、
同様に、b2≡0 または b2≡1である。
1+1≡2 1+0≡1
0+1≡1 0+0≡0
なので、(ⅱ)を満たすのは、
a2≡0 かつ b2≡0
のときのみである。(1)より、a2≡0は、
a≡0のときのみ成り立ち、同様に、b≡0も成り立つので、
a、bはともに3で割り切れる数である。
よって、a、bは自然数a1、b2を用いて
a=3a1、 b=3b1
と表すことができる。
これを(ⅰ)に代入すると、
(3a1)2+(3b1)2=3c2
⇔ c2=3(a12+b12)
となるので、cも3の倍数となる。
(3)
(ⅰ)を満たすような自然数a、b、cが存在すると仮定すると、
(2)より、a、b、cは3で割り切れるので、
自然数a1、b1、c1を用いて、
a=3a1、 b=3b1、 c=3c1
と表すことができる。これを(ⅰ)に代入すると、
(3a1)2+(3b1)2=3(3c1)2
⇔ a12+b12=3c12
この式は、(ⅰ)式と同じ形になるので、(2)より、a1、b1、c1は
3の倍数となる。よって、自然数a2、b2、c2を用いて、
a=3a1=32a2、 b=3b1=32b2、 c=3c1=32c2
と表すことができるので、a、b、cはすべて32で割り切れる。
これを(ⅰ)に代入すると、
(32a2)2+(32b2)2=3(32c2)2
⇔ a22+b22=3c22
同様に、a2、b2、c2は3の倍数となるので、
自然数a3、b3、c3を用いて、
a=33a3、 b=33b3、 c=33c3
と表すことができるので、a、b、cはすべて33で割り切れる。
これを繰り返していくと、
a=34a4、 b=3b4b4、 c=34c4
a=35a5、 b=3b5b5、 c=35c5
a=36a6、 b=3b6b6、 c=36c6
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \vdots\end{align*}}$
となり、a、b、cは何回も3で割り切れることになるが、
そのような自然数a、b、cは存在しない。
よって、a2+b2=3c2を満たす自然数a、b、cは存在しない。
現高3生からは合同式を習っているはずですので、遠慮せずに使います(笑)!
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理系との共通問題です。
第4問
Aさんは5円硬貨を3枚、Bさんは5円硬貨を1枚と10円硬貨を1枚
持っている。2人は自分が持っている硬貨すべてを一度に投げる。
それぞれが投げた硬貨のうち表が出た硬貨の合計金額が多い方を
勝ちとする。勝者は相手の裏が出た硬貨をすべてもらう。
なお、表が出た硬貨の合計金額が同じときは引き分けとし、硬貨の
やりとりは行わない。このゲームについて,以下の問いに答えよ.
(1) AさんがBさんに勝つ確率p、および引き分けとなる確率qをそれ
ぞれ求めよ。
(2) ゲーム終了後にAさんが持っている硬貨の合計金額の期待値Eを
求めよ。
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【解答】
A、Bが投げた表の硬貨の合計金額をそれぞれa、bとおく。
a=0,5,10,15となる確率はそれぞれ
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{8}\ \ ,\ \ \frac{3}{8}\ \ ,\ \ \frac{3}{8}\ \ ,\ \ \frac{1}{8}\end{align*}}$
であり、b=0,5,10,15となる確率はすべて $\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{4}\end{align*}}$ である。
(1)
Aが勝つのは
(a,b)=(15,0)、(15,5)、(15,10)、
(10,0)、(10,5)、(5,0)
の場合なので、その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf p=\left(\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\frac{3}{8}+\frac{3}{8}+\frac{3}{8}\right)\times\frac{1}{4}=\underline{\ \frac{3}{8}}\end{align*}}$
引き分けになるのは
(a,b)=(15,15)、(10,10)、(5,5)、(0,0)
の場合なので、その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q=\left(\frac{1}{8}+\frac{3}{8}+\frac{3}{8}+\frac{1}{8}\right)\times\frac{1}{4}=\underline{\ \frac{1}{4}}\end{align*}}$
(2)
ゲーム終了後のAの硬貨の合計金額をXとする。
X=5となるのは
(a,b)=(5,10)、(5,15)
の場合のなので、その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(\frac{3}{8}+\frac{3}{8}\right)\times\frac{1}{4}=\frac{3}{16}\end{align*}}$
X=10となるのは
(a,b)=(10,15)
の場合のなので、その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{3}{8}\times\frac{1}{4}=\frac{3}{32}\end{align*}}$
X=15となるのは
(a,b)=(15,15)、(10,10)、(5,5)、(0,0)
の場合なので、その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf q=\frac{1}{4}\end{align*}}$
X=20となるのは
(a,b)=(15,10)
の場合のなので、その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{1}{8}\times\frac{1}{4}=\frac{1}{32}\end{align*}}$
X=25となるのは
(a,b)=(15,5)、(10,5)
の場合のなので、その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(\frac{1}{8}+\frac{3}{8}\right)\times\frac{1}{4}=\frac{1}{16}\end{align*}}$
X=30となるのは
(a,b)=(15,0)、(10,0)、(5,0)
の場合のなので、その確率は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(\frac{1}{8}+\frac{3}{8}+\frac{3}{8}\right)\times\frac{1}{4}=\frac{7}{32}\end{align*}}$
以上より、Xの期待値Eは、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 5\cdot\frac{3}{16}+10\cdot\frac{3}{32}+15\cdot\frac{1}{4}+20\cdot\frac{1}{32}+25\cdot\frac{1}{16}+30\cdot\frac{7}{32}=\underline{\ \frac{255}{16}}\end{align*}}$
である。
もれなく書きあげましょう。
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