第1問
実数 x に対してk≦x<k+1を満たす整数kを[x]で表す。
たとえば、 [2]=2 、 $\small\sf{\begin{align*} \sf \left[\frac{5}{2} \right]=2\end{align*}}$、 [-2.1]=-3 である。
(1) n2-5n+5<0を満たす整数nをすべて求めよ。
(2) [x]2-5[x]+5<0を満たす実数 xの範囲を求めよ。
(3) xは(2)で求めた範囲にあるものとする。x2-5[x]+5=0を満たすxを
すべて求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
与えられた不等式の解は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{5-\sqrt5}{2}\lt n<\frac{5+\sqrt5}{2}\end{align*}}$・・・・・・①
ここで、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 2<\sqrt5<3\end{align*}}$
なので、①は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf 1<\frac{5-\sqrt5}{2}\lt n<\frac{5+\sqrt5}{2}<4\end{align*}}$
となり、これを満たす整数nは、
n=2,3
(2)
(1)より [x]=2 または [x]=3
[x]=2のとき、2≦x<3
[x]=3のとき、3≦x<4
よって、2≦x<4
(3)
(ⅰ) 2≦x<3のとき、[x]=2 なので、
与えられた方程式は
x2-10+5=0
となり、これを2≦x<3の範囲で解くと
x=$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \sqrt5\end{align*}}$
(ⅱ) 3≦x<4のとき、[x]=3なので、
与えられた方程式は
x2-15+5=0
となり、これを3≦x<4の範囲で解くと
x=$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \sqrt{10}\end{align*}}$
以上より、求める解は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ x=\sqrt5\ ,\ \sqrt{10}\ }\end{align*}}$
ガウス記号を苦手とする人が多いですが、
定義さえキチンと押さえれば大丈夫!
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第2問
aを正の実数、bとcを実数とし、2点P(-1,3)、Q(1,4)を通る
放物線y=ax2+bx+cをCとおく。C上の2点P、QにおけるCの
接線をそれぞれL1、L2とする。
(1) bの値を求め、cをaで表せ。
(2) L1とL2の交点の座標をaで表せ。
(3) 放物線Cと接線L1、L2で囲まれる図形の面積が1に等しくなる
ようなaの値を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
Cが点P、Qを通るこより
3=a-b+c かつ 4=a+b+c.
これら2式の差をとると
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf -1=-2b\ \ \Leftrightarrow\ \ \underline{\ b=\frac{1}{2}\ }\end{align*}}$
となるので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf c=4-a-b=\underline{\ -a+\frac{7}{2}\ }\end{align*}}$ .
(2)
(1)より
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf C:\ y=ax^2+\frac{1}{2}x-a+\frac{7}{2}\end{align*}}$
となり、導関数は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf y\ '=2ax+\frac{1}{2}\end{align*}}$
なので、接線L1、L2の方程式は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf L_1:\ y-3=\left(-2a+\frac{1}{2}\right)\left(x+1\right)\ \ \Leftrightarrow\ \ y=\left(-2a+\frac{1}{2}\right)x-2a+\frac{7}{2}\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf L_2:\ y-4=\left(2a+\frac{1}{2}\right)\left(x-1\right)\ \ \Leftrightarrow\ \ y=\left(2a+\frac{1}{2}\right)x-2a+\frac{7}{2}\end{align*}}$ .
これら2式を連立させて解くと、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \left(-2a+\frac{1}{2}\right)x-2a+\frac{7}{2}=\left(2a+\frac{1}{2}\right)x-2a+\frac{7}{2}\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \ \ \Leftrightarrow\ \ x=0\ \ ,\ \ y=-2a+\frac{7}{2}\end{align*}}$
となるので、2接線の交点は
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ \left(0\ ,\ -2a+\frac{7}{2}\right)\ }\end{align*}}$ .
(3)
C、L1、L2で囲まれる面積をSとすると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf S=\int_{-1}^0\left\{ \left( ax^2+\frac{1}{2}x-a+\frac{7}{2}\right)-\left(-2a+\frac{1}{2}\right)x+2a-\frac{7}{2}\right\}dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf +\int_0^1\left\{ \left( ax^2+\frac{1}{2}x-a+\frac{7}{2}\right)-\left(2a+\frac{1}{2}\right)x+2a-\frac{7}{2}\right\}dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\int_{-1}^0\left( ax^2+2ax+a\right)dx+\int_{0}^1\left( ax^2-2ax+a\right)dx\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =a\left[\frac{1}{3}x^3+x^2+x\right]_{-1}^0+a\left[\frac{1}{3}x^3-x^2+x\right]_{0}^1\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf =\frac{2}{3}a\end{align*}}$
これが1に等しいので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \underline{\ a=\frac{3}{2}\ }\end{align*}}$
図略でいいですか(笑)?
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第3問
a,bを実数とし、xy平面上の3直線を
L: x+y=0
L1: ax+y=2a+2
L2: bx+y=2b+2
で定める.
(1) 直線L1はaの値によらない1点Pを通る。Pの座標を求めよ。
(2) L、L1、L2によって三角形がつくられるためのa、bの条件を
求めよ。
(3) a、bは(2)で求めた条件を満たすものとする。点(1,1)が
(2)の三角形の内部にあるようなa、bの範囲を求め、それを
ab平面上に図示せよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
L1の式をaについて整理すると、
(x-2)a+y-2=0
となるので、この等式は
x=2 かつ y=2
のとき、aの値によらず成立する。
よって、L1はaの値によらず定点P(2,2)を通る。
(2)
L: y=-x
L1: y=-ax+2a+2
L2: y=-bx+2b+2
(1)と同様、L2もPを通るが、LはPを通らないので、
3直線が1点で交わることはない。
よって、L、L1、L2が三角形をつくるためには、
いずれの2本も平行でなければよいので、
a≠b かつ a≠-1 かつ b≠-1
であればよい。
(3)
A(1,1)とする。
LとL1の交点をQ、LとL2の交点をRとすると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf -x=-ax+2a+2\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \ \ \Leftrightarrow\ \ x=-\frac{2(a+1)}{a-1}\ \ \ (\because a\ne -1)\end{align*}}$
より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf Q\left(-\frac{2(a+1)}{a-1}\ ,\ \frac{2(a+1)}{a-1} \right)\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf R\left(-\frac{2(b+1)}{b-1}\ ,\ \frac{2(b+1)}{b-1} \right)\end{align*}}$ .
直線APは原点Oを通るので、Aが△PQRの
内部にあるためには、
QとRがOに関して反対側にあればよい。
すなわち、$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2(a+1)}{a-1}\end{align*}}$ と$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2(b+1)}{b-1}\end{align*}}$ が異符号で
あればよいので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*} \sf \frac{2(a+1)}{a-1}\cdot\frac{2(b+1)}{b-1}<0\end{align*}}$ .
両辺に(a-1)2(b-1)2をかけると、
(a-1)(a+1)(b-1)(b+1)<0
となり、
・(a-1)(a+1)<0 すなわち -1<a<1のとき
(b-1)(b+1)>0 ⇔ b<-1、1<b
・(a-1)(a+1)>0 すなわち a<-1、1<aのとき
(b-1)(b+1)<0 ⇔ -1<b<1
これを図示すると、下図のようになる。
ただし、境界線上の点は含まない。

(3)を傾きだけで考えようとすると、少しヤヤコシイです。
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第4問
nを2以上の自然数、qとrを自然数とする。1からnqまで番号のついた
nq個の白玉、1からnrまでの番号がついたnr個の赤玉を用意する。
これら白玉と赤玉を、1番からn番まで番号づけられたn個の箱それぞ
れに、小さい番号から順に白玉はq個ずつ、赤玉はr個ずつ配分して
おく。たとえば、1番の箱には番号1からqの白玉と番号1からrの赤玉
が入っている。これらn(q+r)個の玉をn個の箱に以下のように再配分
する。1番の箱から1個の玉を取り出して2番の箱に移し、次に2番の
箱から1個の玉を取り出して3番の箱に移す。同様の操作を順次繰り
返し最後にn番の箱に1個の玉を移して終了する。このようにして実現
され得る再配分の総数をsnとし、n番の箱の白玉がq+1個であるような
再配分の総数をanとする。
(1) s2を求めよ。
(2) s3とa3を求めよ。
(3) s4とa4を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
以下、玉の色を順に
【箱1→2の移動、箱2→3の移動、箱3→4の移動、・・・】
のように表記する。
(1)
箱1に入っているq+r個から1個の玉を箱2に移動させるので、
その総数は
s2=q+r
(2)
箱1のq+r個から1個の玉を箱2に移動させた後、
箱2のq+r+1個から1個の玉を箱3に移動させるので、
その総数は
s3=(q+r)(q+r+1)
このうちで、箱3に白玉がq+1個入るのは
①【白、白】のパターン・・・・q(q+1)通り
②【赤、白】のパターン・・・・qr通り
よって、これらの合計は
a3=q(q+r+q)
(3)
箱1のq+r個から1個の玉を箱2に移動させた後、
箱2のq+r+1個から1個の玉を箱3に移動させ、
箱3のq+r+1個から1個の玉を箱4に移動させるので、
その総数は
s4=(q+r)(q+r+1)2
このうちで、箱4に白玉がq+1個入るのは
①【白、白、白】のパターン・・・・q(q+1)2通り
②【赤、白、白】のパターン・・・・q(q+1)r通り
③【白、赤、白】のパターン・・・・q2r通り
④【赤、赤、白】のパターン・・・・qr(r+1)通り
よって、これらの合計は
a4=q(q+1)2+q(q+1)r+q2r+qr(r+1)
=q(q+1)(q+r+1)+qr(q+r+1)
=q(q+r+1)2
問題文が長くてイヤになりますが(笑)、意味さえ把握できれば
そこまで難しくないと思います。
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