第3問
nとkを自然数とし、整式xnを整式x2-2x-1で割った余りを
ax+bとする。このときaとbは整数であり、さらにそれらをともに
割り切る素数は存在しないことを示せ。
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【解答】
xnをx2-2x-1で割った商をQn、余りをanx+bnとおくと、
xn=(x2-2x-1)Qn+anx+bn
任意のnに対して「an、bnが互いに素な自然数となる」・・・・(※)
ことを数学的帰納法で示す。
(ⅰ) n=1のとき
xをx2-2x-1で割った余りはxとなるので、
a1=1、b1=0
これらをともに割り切る素数は存在しないのでOK
(ⅱ) n=kが(※)を満たすと仮定する。
xk=(x2-2x-1)Qk+akx+bk
の両辺にxをかけると
xk+1=(x2-2x-1)Qk+akx2+bkx
=(x2-2x-1)xQk+ak{(x2-2x-1)+2x+1}+bkx
=(x2-2x-1)(xQk+ak)+(2ak+bk)x+ak
となり、
xk+1をx2-2x-1で割った余りがak+1x+bk+1なので、
ak+1=2ak+bk ・・・・①
bk+1=ak
仮定よりak、bkともに整数なので、ak+1、bk+1も整数となる。
ここで、ak+1、bk+1が共通な素因数pを持つと仮定すると、
ak+1=2ak+bk=pA ・・・・①
bk+1=ak=pB ・・・・②
となる自然数A、Bが存在する。
②よりakはpの倍数であり、②を①に代入すると、
2pB+bk=pA
⇔ bk=p(A-2B)
となり、bkもpの倍数となる。
これは、akとbkが互いに素であることに矛盾するので、
ak+1とbk+1も互いに素である。
よって、n=k+1のときも(※)を満たすことになり、
任意の自然数に対して題意は示された。
帰納法が書きやすいでしょうね。互いに素であることは背理法で!
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- 2013/05/20(月) 23:57:00|
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第6問
投げたとき表が出る確率と裏が出る確率が等しい硬貨を用意する。
数直線上に石を置き、この硬貨を投げて表が出れば数直線上で
原点に関して対称な点に石を移動し、裏が出れば数直線上で座標1
の点に関して対称な点に石を移動する。
(2) 石が座標xの点にあるとする。2回硬貨を投げたとき、石が座標x
の点にある確率を求めよ。
(2) 石が原点にあるとする。nを自然数とし、2n回硬貨を投げたとき、
石が座標2n-2の点にある確率を求めよ。
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【解答】
(1)
2回投げたときの表裏の出方で場合分けすると、
(ⅰ) 表→表と出た場合
x→-x→x と変化し、値が変わらない。
(ⅱ) 裏→裏と出た場合
x→2-x→x と変化し、値が変わらない。
(ⅲ) 表→裏と出た場合
x→-x→x+2 と変化し、値が2増える。
(ⅳ) 裏→表と出た場合
x→2-x→x-2 と変化し、値が2減る。
よって、題意を満たすのは(ⅰ)、(ⅱ)の場合なので、
その確率は、
.
(2)
2回投げることを1セットと考える。
nセットすべてが(ⅲ)になれば、石は座標2nの位置に来る。
よって、石が座標2n-2の来るためには、nセットのうち
(ⅰ)または(ⅱ)が1セット、(ⅲ)がn-1セットであればよい。
よって、その確率は、
^{n-1}=\underline{\ \frac{n}{2^{2n-1}}\ })
となる。
(2)はうまく(1)を使いましょう。
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- 2013/05/23(木) 23:57:00|
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