第2問
区間[-1,1]で、曲線y=|x|e|x|と直線L:y=a (0≦a≦e)の
間にある部分の面積をSとする。
(1) 曲線y=xex (x≧0)とLの交点のx座標をtとし、Sをtの式で表せ。
(2) Sの最大値と最小値、およびそれらをとるaの値を求めよ。
--------------------------------------------
【解答】
(1)
F(x)=|x|e|x| (-1≦x≦1)とおくと、
F(-x)=F(x)
となるので、
曲線y=F(x)のグラフはy軸について対称である。
また、f(x)=xex (x≧0)とおくと、
f’(x)=ex+xex>0
となるので、f(x)は単調に増加する。
これらとf(0)=0を考慮に入れて
y=F(x)およびLのグラフを描くと
右図のようになる。
よって、
y=F(x)とLの間にある部分の面積Sは、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf S=2\int_0^t\left(a-xe^x\right)dx+s\int_t^1\left(xe^x-a\right)dx\end{align*}}$
として求めることができる。
部分積分法を用いると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf \int xe^x\ dx=e^x-\int e^x\ dx=(x-1)e^x+C\end{align*}}$ (C:積分定数)
となるので、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf S=2\bigg[ax-(x-1)e^x\bigg]_0^t+2\bigg[(x-1)e^x-ax\bigg]_t^1\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf =4at-4(t-1)e^t-2a-1\end{align*}}$ .
題意より、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf a=te^t\end{align*}}$
なので、Sに代入すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf S=4t^2e^t-4(t-1)e^t-2te^t-1\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf =\underline{\ 2\left(2t^2-3t+2\right)e^t-1\ }\end{align*}}$ .
(2)
(1)で求めたSをtで微分すると、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf S'=2\left(4t-3\right)e^t+2\left(2t^2-3t+2\right)e^t\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf =2(2t^2+t-1)e^t\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf =2(2t-1)(t+1)e^t\end{align*}}$
となるので、0≦t≦1の範囲でSの増減は次のようになる。

これより、Sの最小値および最大値は、
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf S_{max}=2e-1\ \ \ \ \left(t=1\right)\end{align*}}$
$\scriptsize\sf{\begin{align*}\sf \underline{S_{min}=2\sqrt{e}-1\ \ \ \ \left(t=\frac{1}{2}\right)\ }\end{align*}}$
問題の表記があやふやなので、どの部分の面積か分かりにくいですね。
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- 2018/10/05(金) 03:02:00|
- 大学入試(数学) .関西の公立大学 .和歌山県立医大 2012
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第4問
自然数の列{an}、{bn}を
a1=2、 b1=5
an+1=an2+bn2、 bn+1=2anbn (n=1,2,3,・・・)
で定める。このとき、すべての自然数nに対して、anとbnの最大公約数
は1であることを示せ。
--------------------------------------------
【解答】
n≧2のnに対して、
「anは奇数、bnは偶数である」・・・・(※)
ことを、数学的帰納法で示す。
(ⅰ) n=2のとき
a2=22+52=29、 b2=2・2・5=20
となるのでOK
(ⅱ) n=kのとき(※)を満たすと仮定すると、
ak=2L-1、bk=2M (L、M:自然数)
と表すことができる。
このとき、
ak+1=(2L-1)2+(2M)2=2(2L2-2L+2M2)+1
bk+1=2(2L-1)(2M)
よって、n=k+1のときも(※)を満たすので、
n≧2である任意のnに対して(※)は成り立つ。
次に、任意の自然数に対して
「anとbnの最大公約数は1である」・・・・(#)
ことを、数学的帰納法で示す。
(Ⅰ) n=1のときは自明
(Ⅱ) n=kのとき(※)を満たすと仮定する。
ak+1とbk+1が、共通の素因数pをもつと仮定すると、
ak+1=pA、 bk+1=pB
と表すことができる(A、Bは自然数)。
ここで(※)より、ak+1は奇数なので、p≠2である。
題意より、
ak+1+bk+1=ak2+bk2+2akbk
⇔ p(A+B)=(ak+bk)2
となり、(ak+bk)2はpを素因数にもつ。
よって、ak+bkもpを素因数にもつことになり、
ak+bk=pC ・・・・①
と表すことができる(C:自然数)。
同様に考えると、
ak+1-bk+1=ak2+bk2-2akbk
⇔ p(A-B)=(ak-bk)2
となるので、
ak-bk=pD ・・・・②
と表すことができる(D:整数)。
①+②および①-②を計算すると、
2ak=p(C+D)
2bk=p(C-D)
となり、p≠2なので、ak、bkともにpを素因数にもつ。
これは、n=kのときに(#)が成り立つことに矛盾する。
よって、n=k+1のときも、1以外の公約数を持たないので、
(#)を満たすことになる。
以上より、任意の自然数に対して(#)が成り立ち、題意は示された。
前半の証明は、もう少し簡略してもいいと思います。
互いに素であることの証明は、(Ⅱ)のように背理法を用いると
書きやすくなります。
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- 2018/10/05(金) 03:04:00|
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